経営・戦略

2024.07.11 16:15

世界初! 分子構造似ている「香水xワイン」ペアリング、最上級同士の相性は

プレンタ・エステート輸出マネージャーのルチアーノ・アルカノーニ氏と評香師のMAHO氏。

ワインと香水の共通点とは?

イベントを通して、ワインと香水には想像以上に親和性があると感じたが、あらためてワインと香水の共通点を考えてみたい。
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・色・香りの種類の豊富さと言語化体系

ワインはまず外観(色)・香り・味わい(余韻)を愉しむように、香水にもさまざまな色感・香り・そして肌に乗せた時の印象や時間経過による変化を愉しめる。シンプルなものから複雑なもの、軽いものから重いもの、原料のブレンドによって色・香り・味わいが変幻するのは、香水もワインも同じだ。

香りの複雑性においても、化学者でもあるベデルが「分子構造が似ている」というように、共通する部分が多い。実際、ワインの香りや味わいを明確に言語化するために使われるフレーバーホイールのように、香水でも、フローラル/果実/植物/スパイス/ミネラル……というように、香りの要素が言語化されている。「香水がさまざまな原料を組み合わせるのに対し、ワインが特異なのは、この多様性をブドウのみから生み出せること」とMAHOさんは舌を巻く。
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膨大な数の香水から、自分好みの1本を選ぶ作業は、膨大な種類のワインから自分好みのワインを探す道のりにも似ている。香水選びをナビゲートしてくれるスタッフは、ワインにおけるソムリエと同じミッションを担っているのだ。


・ヴィンテージ(エディション)によるゆらぎ

フエギアのユニークな点に、「エディション」という考え方がある。各作品には「I- XXII」のようにローマ数字があり、このエディション表記によって、いつ造られた作品なのかが判別できる。これは、生産時に入手できる最高の植物原料のみを使用するフエギアでは、植物を採取した時期や季節により「香りのゆらぎ」があるため。ワインのヴィンテージのように、同じ銘柄でもエディションが違えば、香りが異なる可能性があるのだ。また、フエギアには廃盤の概念がなく、フレグランスを造る/造らないの判断は、質の良い原料が確保できるかなどその年の様々な要因による。「ヴィンテージのゆらぎがあるからこそ楽しめる」点も、きわめてワイン的だ。
香水にはエディションとシリアルナンバーが記載されている。

香水にはエディションとシリアルナンバーが記載されている。

・熟成の概念

さらに興味深いのは、フエギアの香水には、「熟成」の概念がある点。通常だと香水は数年すると「劣化」するとされるが、フエギアでは経年劣化の可能性がある人工香料や合成アルコールは使用せず、熟成したオーガニックアルコールと天然香料を使用しているため、香りの変化を「より良くなるもの=熟成」とみなしている。

そのため、通常ではありえないヴィンテージ・コレクションが存在するのだ。何かというと、その年に発表した香水をすべてリリースせずに一部をリザーブしておき、数年後、「より良くなっている」と調香師が判断した場合のみ、ヴィンテージ・コレクションがリリースされるという。ヴィンテージ・ワインと同じように、香りがまろやかになり角のとれた香りは、まさに時を重ねたヴィンテージ・ワインのごとく深みを増して重厚な輝きを放つ。
バーではアルゼンチンワインがグラスやボトルで頂ける(メニューは6/4時点。随時変更)。

インフュージョンバーでは厳選ワインがグラスやボトルで頂ける(メニューは6/4時点。随時変更)。


今回は特別イベントの様子をレポートさせて頂いたが、麻布台ヒルズ店のバーの通常メニューでも、頼んだワインに合わせて3種類ずつ香りの提案をしてくれる。香水を選んでも良し、もちろんバー利用だけも可能だ。日常の喧騒を忘れ、美しき香りの冒険の旅へと出かけてみてはいかがだろうか。

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