経営・戦略

2024.07.11 16:15

世界初! 分子構造似ている「香水xワイン」ペアリング、最上級同士の相性は

プレンタ・エステート輸出マネージャーのルチアーノ・アルカノーニ氏と評香師のMAHO氏。

3本目は、同社のアイコンワイン「グラン・コルテ」。「コルテ」はブレンドを意味する通り、マルベックとボルドー品種計5種類のブレンドの妙が織りなす香水のようなワインだ。しっかりと熟した黒い果実の香りにたばこやチョコレート、ミントなどグリーンな雰囲気を合わせ持ち、重厚な中に繊細さを漂わせている。「長期熟成のポテンシャルもあるので、これから更にどう変化していくかも楽しみです」とルチアーノ氏。
advertisement

ポルシェのオフィシャルワインにも選ばれたという格調高いワインに、どんな香水を合わせるのだろうかー。

まず1本目は、「Alhambra」―アルハンブラ宮殿をイメージした香りは、力強く濃密で、乾いた風が吹き抜ける中東の迷路に迷い込んだようなエキゾチックな香り。「このペアリングのポイントは、ずばり色です」とMAHOさん。別名「赤い城塞」とも呼ばれる宮殿の石造りの外壁が太陽に照らされ赤く染まるイメージ、そして香水の世界では「タン(赤)」で表現するサンダルウッドの香り……さまざまな色のイメージを、ワインの、深みのあるダークレッドに重ねた。食べ物とワインの色を合わせるというのはペアリングのセオリーだが、香水とワインの色のイメージを合わせるという発想が面白い。

そして最後の香りは、「Flores Negras」。「黒い花」というアルゼンチンタンゴの曲にインスピレーションを受けた、熱を秘めた香りだ。フローラルかつ熟れた果実、とりわけ凝縮したデーツの甘やかな香りは、その場にいる男性全員を虜にしてしまいそう。蠱惑的だがどこか抜け感があり、少しミンティなグラン・コルテの味わいとも共鳴する。
advertisement

「アルハンブラよりは軽めの香りなので、残る香りが重すぎるのが好みでない方には、こちらがおすすめです」とMAHO氏。軽め・重めと2パターンのペアリングがあると、自分の好みを把握する助けにもなる。

―ペアリングのポイントは「一歩引いた香水を」

ワイン3種類×香水2種類のペアリングを愉しませて頂いたが、ペアリングの決め手はどこにあるのだろうか。食事とワインを合わせるときのように、ワインに感じられる香りの要素(例えば、花や果実など)を合わせるのか、格を合わせるのか……。

疑問をぶつけると、「類似の香りの要素だけで合わせると、どうしても果実の香りが多くなり、単調になりがちです」とMAHOさん。それだけでなく、全体の印象や、香水やワインを楽しむシーンや装い、ストーリーなどを加味して選ぶと面白いのではないかと提案する。また、ワイン同様、香水も軽め・重めと表現することができるが、一概に「重いワインには重い香水」と合わせるのも考えものだ。香水はどうしても香りが強く出やすくなってしまうため、「ワインの素晴らしい香りをかき消してしまわないよう、一歩引くくらいの香水を選びたい」とアドバイスする。

次ページ > ワインと香水の共通点とは?

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事