ヘルスケア

2024.06.15 17:00

生理中の女性は「思考が速く正確になる」 一般論と相反する研究結果

Shutterstock.com

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女性は月経中、気分や認知能力が普段よりも低下していると感じているにもかかわらず、思考はより明晰になり、反応速度が上がり、ミスも減ることがわかったとする研究結果が、認知神経科学の専門誌Neuropsychologiaに掲載された。

394人の参加者を対象とした研究について、論文はこう記している。「研究参加者は月経期に気分や症状の悪化を報告し、それが認知能力に悪影響を及ぼしていると認識していたにもかかわらず、総合的な認知スコアは向上していた。参加者の主観的なパフォーマンス認識と客観的な認知スコアとの不一致は、女性の月経周期について前向きな展望をもたらし、スポーツを行う際の心構えや考え方を形づくるのに役立つ可能性がある」

「これとは対照的に、卵胞期後期と黄体期(子宮内膜が厚くなる期間)においては、認知課題パフォーマンスの最適水準が下がり、【略】黄体期には全体的なパフォーマンスの悪化がみられた」

女性アスリートをめぐっては、月経周期に伴うホルモンバランスの変化によって筋骨格系を損傷するリスクが高まる点について詳しく論じた科学文献はあるが、脳機能や認知機能にどのような変化が起こり得るかを掘り下げた研究はほとんどない。

英ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の外科・介入科学科とスポーツ・運動・健康研究所(ISEH)に所属するフラミニア・ロンカらの研究チームは、英国を拠点に活動する18~35歳の研究参加者を募集。ランニング、サイクリング、ボート、ウェイトリフティング、短距離走、サッカーやラグビーなど、さまざまなスポーツについて練習頻度に関するオンライン調査票を記入してもらった。

参加者はホルモン剤の使用、月経周期の特徴、避妊の有無についても回答した後、複数のオンライン認知テストを受けた。このうち、画面にウインクの顔文字が表示されたらすぐにスペースキーを押すというテストでは、反応時間とタスクに対する注意持続能力を記録した。

「(女性ホルモンのうち)プロゲステロンは大脳皮質を抑制し、エストロゲンは大脳皮質を刺激する。これにより私たちの反応速度は遅くなったり速くなったりする。この点を考えると、(女性アスリートが)けがをするのは月経周期の中でアスリートの動作のタイミングが変化するからではないかと考えた」とロンカは述べている。

さらにロンカは次のように指摘した。「驚くべきことに、参加者のパフォーマンスは生理中のほうが優れていた。これは、女性はもちろん、おそらく社会一般が月経期の女性の能力について思い込んでいることに異議を唱える結果だ。私たちがどう感じるかは、必ずしも私たちのパフォーマンスを反映しているわけではないのだ」

興味深い発見として、女性は排卵直前になると、いつもより不器用になった気がすることもわかった。

研究チームの一人でロンカの同僚のミーガン・ロウェリーは今回の研究結果について、女性の認知能力が月経周期のさまざまな時点で運動能力にどのような影響を及ぼすかを理解する重要な一歩となったと強調。「月経周期の中で自分の脳と身体がどのように変化するかを女性が理解することで、適応しやすくなることを願う」と付け加えた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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