テクノロジー

2024.06.11 12:00

ペットと会話できる未来はすぐそこに 動物の言葉を訳す技術が急速に進展

Getty Images

2. ネズミの鳴き声に特化した機械翻訳「ディープスクウィーク」

ネズミなどのげっ歯類は、甲高い超音波発声(USV)という言語を使って意思を疎通する。USVの周波数は、人間の耳に聞こえる帯域を超えていることが多い。人間が聞き取ることのできる音の周波数は約20キロヘルツまでだ。一方、げっ歯類の声の周波数は20~100キロヘルツ超になるため、人間が聞き取るには特殊な機器が必要になる。USVを解明する機械学習ツールの「ディープスクウィーク」が2018年に開発されるまで、こうした人間の可聴域を超えた甲高い鳴き声を研究するには法外な費用と手間がかかると考えられていた。
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ディープスクウィークのケビン・コフィー主任研究員はドイツ公共放送ドイチェベレの取材に対し、「AIや深層学習の手段は魔法ではない。すべての動物の鳴き声をいきなり英語に翻訳できるわけではない」と語った。その上で、生物学者がさまざまな状況で動物を観察し、鳴き声を行動や感情などに結び付ける大変な作業を行っていると説明した。

このソフトウエアが行うのは、生の音声からげっ歯類の鳴き声を分離し、類似の発声と照合しつつ、げっ歯類の行動に関する洞察を提供することによって研究作業を合理化することだ。これにより、げっ歯類の超音波言語を研究者が分析できるデータに変換する。

動物の言葉の解明に向けたこうした事例は一般的になりつつあり、今日の技術の急速な進歩を物語っている。まだ初期段階とはいえ、人間と動物の意思疎通は、理論的にも実際的にも現実のものになりつつある。
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現在のところ、私たちはまだペットと自由に話すことはできないかもしれないが、考えてみてほしい。ほんの数年前まで、米OpenAIの対話型AI「ChatGPT」のような高度なAIツールは未来の夢のように見えていたではないか。それが今や、私たちの日常生活の一部になっている。この急速な進展は、動物たちと会話できる未来がすでに私たちの手の届くところまで来ていることを示唆している。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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