犬や猫と「言語の壁」を越えて絆を深めるため、心がけること

動物たちは鳴いたりしっぽを振ったりして何かを伝えようとしているのかもしれない。しかし私たちは本当に耳を傾けているだろうか(Alphavector/Shutterstock)

人類は一部の動物たちとの間に素晴らしい絆を築いてきた。この絆は長年にわたる共進化の産物であり、人間とペットの間に深い非言語的な理解を育んできた。私たちは生活や住居、時には感情までも動物たちと共有している。米国の家庭の3分の2がペットを飼っているという事実は、この人間と動物の強いつながり証明するものだ。

ペットを飼うことが、精神的な困難に苦しむ人たちに、どれほど変革をもたらすかを示す研究もある。たとえば、ある被験者は、飼っている犬には彼女が泣いている時の悲しみを感じ取る能力があり、隣に来て「涙を舐め取ってくれる」と報告した。

イヌとネコは米国で最も人気のあるペットで、人気ではイヌがわずかにネコを上回っている。このネコよりもイヌが好まれる理由は、しばしばイヌが与えてくれる無条件の愛と交流にあると考えられており、飼い主の運動や外出時間を増やすことから得られるメンタルヘルスの利益とも一致している。一方ネコは、ストレスを減らす素養で知られ、イヌとはまた別の種類の、同じくらい価値ある交流関係を多くの人にもたらす。

ペットが持つそれぞれ固有の特質を理解し、それに対応することが、ペットとの絆を深める鍵である。

イヌには明確な表現で伝えることが必要

イヌの飼い主は、自分の愛犬が人間の言葉を理解している、と主張することがある。これは完全に間違いというわけではないが、科学者たちによると、おそらく彼らが理解しているのは言葉ではなく、その背後にある感情である。

『Frontiers in Psychology』誌に掲載された2020年の研究によると、イヌは飼い主の感情を察知し共有することができ、特に長く密な関係を築いているほどそうであるという。同研究は、イヌと飼い主の心拍変動を測定し、ストレスのかかる条件下で両者が同期していることを発見した。このことは、イヌと人間が互いに共感しあっていることを示唆している。

イヌは飼い主の感情の状態を、以下のような合図を使って察知することができ、それに反応することが、この研究でわかった。

・表情
・ボディランゲージ
・声
・接触

飼い犬に話しかける時は、これらの合図を利用して自分の感情を明確に、そして一貫性をもって伝えることが大事だ。たとえば、愛犬を褒める時には笑顔で高い声を使い、不愉快さを示す時には顔をしかめ低い声を使う。また、優しく撫でる、抱きしめるといった身体的接触を用いて、愛情を表現したり愛犬を癒やすことができる。共感をより強く表現することで、愛犬にあなたの意図と期待を理解させ、絆を深めることができるようになる。
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翻訳=高橋信夫

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