ペット産業の闇を知らない人は5割、生体販売は今後も続くのか

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アニマル・ウェルフェア(動物福祉)が叫ばれるようになるのと同時に、悪質なペットショップやブリーダーによる動物虐待の実態が明らかになってきた。日本でも欧米に倣ってペットショップでの生体販売を規制すべきという声が高まっているかに見えるが、実際はどうなのか。犬や猫が好きな人たちを対象にした調査では、ペット後進国と言われる日本でも、一般人の意識はけっこう高いことがわかった。

デジタルマーケティングやメディアサービスなどを運営するPLAN-B(プランビー)は、全国の犬好き、猫好きの男女427人を対象にペットショップのあり方に関する意識調査を行った。それによると、日本でも海外のようにペットショップでの生体販売は禁止すべきかとの質問に、60.7パーセントの人が「禁止すべき」と答えている。禁止すべきと答えた人の意見を見ると、安易に犬や猫を購入して捨てる人たちや、悪質な業者による飼育放棄や多頭飼い崩壊などの問題が理由にあげられている。

禁止しなくてよいと答えた人のなかには、実物を見たほうが命の重みを感じられる、責任ある飼育を義務化する法律で対応すべきといった意見があった。またPLAN-Bによれば、日本には他国よりもていねいに世話をする習慣があるという意見も「ちょこちょこ」見られるとのことだが、それに対して、捨てられる犬猫の数が非常に多いことがあまり知られていないとコメントしている。

ブリーダーの繁殖については、じつに84.5パーセントの人が問題があり法規制すべきだと答えた。2021年の動物愛護法改正によりブリーダーの規制が厳格化されたが、悪徳業者が法律を守るはずもなく、小さなケージに閉じ込められ、ひたすら子ども産ませられて心身共にボロボロになった母犬を保護団体が救出するというケースが今も日常的に続いている。今まであまり知られていなかったこうした闇世界の話は、映像で流すには悲惨過ぎてマスメディアではなかなか報道されない。そのため、悪質なペットショップの繁殖方法や飼育環境の問題を「知らなかった」という人が4割を超えていた。

ただ、知らなかったという人も、ペットショップでの販売に賛成していたが考えを改めると話すなど、ペット業界の闇の実態を知って大きなショックを受けているようだ。この調査からは、アニマル・ウェルフェアの意識が日本でも高まりつつあることが感じられる。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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