日本酒や海藻など伝統的な食文化から、地球規模の環境課題に配慮したビジネス、AI時代に対応する新たなテック分野まで、今こそ注目したい次なるトレンドを一挙紹介。大きな課題と向き合い、既成概念に縛られない柔軟な発想が世界を変えていく。
北海道・東北
次世代放射光施設「NanoTerasu」

「NanoTerasu」とはナノレベルまで可視化できる最先端の巨大な顕微鏡。東北大学・青葉山新キャンパス内に新設され、2024年4月から運用を開始。たとえば味覚と内部構造の相関関係から「おいしさの見える化」が可能となる。食品や農業をはじめ自動車、医薬品など、さまざまな産業分野で優れた研究成果が「売り方」を変える。

日本酒の新ジャンル クラフトサケ

米を原料に、日本酒の製造技術をベースにしながらも従来のルールに縛られない、自由な発想でつくる新しい酒。ハーブやフルーツなどの副原料を入れたものなど、新たな味わいが生まれ、醸造所は全国に拡大中。つくり手が異業種から参入した若き起業家であることもポイントで、彼らを中心にクラフトサケブリュワリー協会も誕生。

“捨てない社会”を実現 循環商社エコミット
エコミットは、リサイクルではなく、廃棄されたモノの市場ニーズをデータ化し、最適なルートに「選別」して、できるだけそのままの状態で再流通することを目指す企業。回収から選別、再流通、さらにデータ化まで自社で行うことで、循環サイクルをワンストップで実現。国内外で100社以上と提携。さらに増えると考えている。
着物で仕立てる東北発「サムライアロハ」

眠っている着物を宮城県のお母さんたちが一枚ずつほぐして洗って裁断し、福島県と岩手県の縫製工場でアロハシャツに仕立て直す。「サムライアロハ」と命名され、日本の伝統文化を発信するプロダクト、かつ「売り手」「買い手」「世間」「働き手」の四方よしのビジネスモデルは、海外でブレイクする可能性が高いと見ている。

水稲栽培革命を起こす「アイガモロボ」

2023年に発売した水田の自動抑草を行う「アイガモロボ」。除草工数58%減、収量1割増という結果が実証されたが、24年には機能をレベルアップさせながらも安価な新型の実証実験を開始。環境条件の異なるあらゆる水田で使用できるよう改良に取り組んでいる。販売されれば、日本全国の水稲栽培に革命を起こすだろう。

環境配慮型「B Corp」取得企業の広がり
B Corp(Benefit Corporation)は、企業が利益だけでなく、社会的および環境的な影響も最大化しているかを評価、認定される制度。欧米では取得企業が増えつつある。2024年3月にBMBJ(B Market Builder Japan)という国内の公式団体が設立。日本でもステークホルダー資本主義を広めるべく、活動が始まった。