砂漠化の影響
UNCCDによると、砂漠化した地域に住む人口は約5億人。これらの人々は、栄養失調や清潔な水への不十分なアクセスにより、貧困や食料安全保障の欠如、健康状態の悪化などのリスクを抱えています。また、気候変動や干ばつ、自然災害などの異常気象の打撃を受けやすいのもこの地域です。こうした背景から、生計が立ちにくく、減少する資源をめぐって紛争が起こるリスクも高まるため、他国への移住を余儀なくされることもあります。砂漠化の最も顕著な例のひとつが、中央アジアのアラルクム砂漠です。1960年代、この地域は世界で4番目に大きな湖であるアラル海に覆われていました。現在、アラル海の面積はかつての10分の1に縮小し、塩分濃度の高い小さな湖が3つ残っているのみです。ソビエト連邦時代、綿花栽培のため半砂漠地帯の灌漑にこの水が利用され、水位が低下したところに気候変動がさらに追い打ちをかけたためです。乾燥した海底は塩に覆われた砂漠と化し、漁船は座礁し、錆びつき、人々の生計は破綻しました。
砂漠化を緩和する方法
砂漠化に対処するためのアプローチは多種多様で、世界中で多くのプログラムが進行しています。森林再生や植林は、劣化した土壌を蘇らせる上で役立ちます。ウズベキスタンでは、再緑地化プログラムによってアラル砂漠沿いの100万ヘクタールに樹木や低木が植えられました。その中には、干ばつに強く、塩分や砂を固定し、砂嵐によって砂が内陸に運ばれるのを防ぐことができるアカザ科の低木も含まれています。アフリカのサハラおよびサヘル地域では、アフリカ連合が2007年に立ち上げた「グレート・グリーン・ウォール」が、荒廃した1億ヘクタールの土地に植物を復活させることを目指しています。アフリカの22カ国が参加するこのイニシアチブは、土地を復活させ、2030年までに2億2000万トン以上の炭素を貯蔵し、1000万人の雇用を創出する予定です。
土地の劣化に取り組むもうひとつの大きな柱は、アグロフォレストリー(森林農法)からサステナブルな放牧まで、あらゆるサステナブルな土地管理手法を導入することです。また、雨水利用、点滴灌漑、干ばつに強い作物の植え付けなどの水管理により、水不足の影響に対処することができるでしょう。その他の改善策には、植生回復や、湿地帯や河床全体のような自然の生息地の回復があります。
サウジアラビアで開催される世界経済フォーラムの特別会合では、COP16のホスト国としてのサウジアラビアへの支援や、12月のCOP16プログラム作成に向けた同フォーラムとサウジアラビアの共同作業など、砂漠化に関する一連の発表やセッションが行われる予定です。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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