1カ月後の今月2日ごろ、似たようなことが起こった。今度はロシア軍のBTR-82装甲兵員輸送車2両が、アウジーウカ郊外のウクライナ側の陣地に向けて進んできた。やはりケージ装甲に覆われた車上に、歩兵が合わせて20人かそこら乗っていたようだ。
重量15tほどの装輪車両であるBTR-82はMT-LBより新しく、より重武装でもある。だが、M-2との直接戦闘ではほとんど無防備に等しい。ウクライナ軍のドローンがBTR-82のペアを発見すると、M-2は待ち伏せ攻撃に有利な場所に陣取る。2両が遮蔽物のない開けた平原を進んでくると、M-2の乗員は射撃し始める。
交戦の様子を捉えた動画では、25mm弾がBTR-82の上に乗っている歩兵に直撃し、その身を切り刻んでいる。1両でおそらく発煙弾がクックオフ(周囲の熱による発火・爆発)し、遺体が空を舞う。生き残った歩兵が散開するなか、M2はBTR-82や歩兵にさらに弾を浴びせる。砲撃跡の穴にかがむ兵士の姿も見える。
Video of two Russian BTR-82 with roof and side screens and infantry coming under fire from a Bradley IFV from Ukraine's 47th Mechanized Brigade.https://t.co/sbXSRJsErN pic.twitter.com/UQLvZdKNPA
— Rob Lee (@RALee85) June 2, 2024
そのとおりだ。ウクライナ軍は昨年初めから受け取り始めた300両あまりのM2のうち、約40両を失っている。ただ、この車両の扱いに慣れるにつれて、損失数は月平均2両ほどで安定するようになっている。
ウクライナ軍でM2を運用する部隊はこれまで第47旅団だけだった。だが、5月に米国から新たに100両かそこらのM2が供与されたことで、ウクライナ軍参謀本部は2個目の旅団に配備できるようになった可能性もある。実現すれば、ウクライナ軍が車両面でロシア軍に対して優位に立てる正面が増えるだろう。
米国がウクライナにさらに多くのM2を送れない理由はない。ウクライナが使っているモデルのM2は、米陸軍ではすでに退役している。このモデルは、カリフォルニア州の施設にある約500両を含め、米陸軍でおよそ1000両保管されているはずだ。
(forbes.com 原文)