欧州

2024.06.06 11:30

ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシア軍の装甲車狩りにいそしむ 歩兵ごと粉砕

動画では、M2の乗員がMT-LBを見つけて射撃を始める。ロシア軍の歩兵が飛び降りたあと、MT-LBの脆い車体に25mm弾が何発も撃ち込まれ、MT-LBは爆発・炎上する。ウクライナ国防省は「M2ブラッドレーが手本を見せる」と誇っている。

1カ月後の今月2日ごろ、似たようなことが起こった。今度はロシア軍のBTR-82装甲兵員輸送車2両が、アウジーウカ郊外のウクライナ側の陣地に向けて進んできた。やはりケージ装甲に覆われた車上に、歩兵が合わせて20人かそこら乗っていたようだ。

重量15tほどの装輪車両であるBTR-82はMT-LBより新しく、より重武装でもある。だが、M-2との直接戦闘ではほとんど無防備に等しい。ウクライナ軍のドローンがBTR-82のペアを発見すると、M-2は待ち伏せ攻撃に有利な場所に陣取る。2両が遮蔽物のない開けた平原を進んでくると、M-2の乗員は射撃し始める。

交戦の様子を捉えた動画では、25mm弾がBTR-82の上に乗っている歩兵に直撃し、その身を切り刻んでいる。1両でおそらく発煙弾がクックオフ(周囲の熱による発火・爆発)し、遺体が空を舞う。生き残った歩兵が散開するなか、M2はBTR-82や歩兵にさらに弾を浴びせる。砲撃跡の穴にかがむ兵士の姿も見える。

「現代的なテクノロジーを活用し、米国製の装備を上手に使いさえすれば、戦場で大きな優位性を得られる。われわれはそれをまたしても証明した」。第47独立機械化旅団は通信アプリ「テレグラム」のチャンネルでそう述べている

そのとおりだ。ウクライナ軍は昨年初めから受け取り始めた300両あまりのM2のうち、約40両を失っている。ただ、この車両の扱いに慣れるにつれて、損失数は月平均2両ほどで安定するようになっている。

ウクライナ軍でM2を運用する部隊はこれまで第47旅団だけだった。だが、5月に米国から新たに100両かそこらのM2が供与されたことで、ウクライナ軍参謀本部は2個目の旅団に配備できるようになった可能性もある。実現すれば、ウクライナ軍が車両面でロシア軍に対して優位に立てる正面が増えるだろう。

米国がウクライナにさらに多くのM2を送れない理由はない。ウクライナが使っているモデルのM2は、米陸軍ではすでに退役している。このモデルは、カリフォルニア州の施設にある約500両を含め、米陸軍でおよそ1000両保管されているはずだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

ForbesBrandVoice

人気記事