これは、全米経済研究所(NBER)がこのほど発表した2024年の最新調査で明らかになったことだが、同様の結果は以前、別の研究でも示されていた。
こうした研究結果は重要だ。公衆衛生にお金を投じる以上、少なくともそれ相応の成果が得られなくてはならないためだ。NBERが発表した調査結果によると、コンドームを無料配布しても、望まぬ妊娠を減らす効果は皆無だった。この結果は、筆者が8年前の2016年に取り上げた別の研究とおおむね合致している。詳しく説明していこう。
米国の十代にコンドームを無料配布しても効果なし
筆者が2016年に取り上げたのは、『The Incidental Fertility Effects of School Condom Distribution Programs(高校生向けコンドーム無料配布と妊娠率への影響)』と題したNBERの研究だ。十代の米高校生にコンドームを無料配布し、参加した高校生の妊娠率にどのような変化が起こったのかを明らかにする調査だった。結論はというと、妊娠率は10%上昇した。その理由を簡単に説明すると、参加した高校生の多くがコンドームの使い方について、適切な指導を受けていなかったからだ。他の多くのことにも当てはまることだが、コンドームを持っているだけでは不十分であり、常に正しい方法で使用しなければ意味はない。
ブルキナファソでも同様の結果
次は、2024年5月にNBERが発表した研究結果を見てみよう。こちらは、アフリカのブルキナファソで1万4545世帯を対象に実施された、3年にわたる無料コンドーム配布プログラムに関する研究だ。データが明示しているように、コンドームが無料配布されていた期間中、出生率はまったく変化しなかった。「3年のあいだ、医療用避妊具を無料で利用できた女性たちの出生率は低下しなかった。控えめな効果すら認められなかった」と、リポートには書かれている。
一つ言えるのは、米国で10代の若者にコンドームを無料配布したときのような妊娠率上昇は起きなかったことだ。
とはいえ、ブルキナファソでの状況は、コンドームを無料配布すべき状況に見えていたのは事実だ。