「新たな産業革命」
エヌビディアは、世界で現在最も熱い市場である生成AI市場の最大のプレーヤーだ。ゴールドマン・サックスの調査によると、生成AI向け半導体の約80%を設計している。とくに、アップルやマイクロソフトなど半導体を渇望する取引先に対して絶大な価格決定力をもつだけに、将来の収益のポテンシャルは計り知れない。AI革命によるエヌビディアの最終利益への影響は早くも明らかになっている。エヌビディアの直近4四半期のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は計540億ドル(約8兆5000億円)と、2023年4月までの1年間の6倍に急増している。アップルは利益が伸び悩み、直近四半期のフリーキャッシュフロー(FCF、純現金収支)は20%減少した。
エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は先週の決算説明会で、AIによる「新たな産業革命」が始まったと宣言した。その言葉を信じるなら、エヌビディアに投資するのは、1700年代にほとんどの蒸気機関の重要な部品を製造していた企業に投資するようなものと言えるかもしれない。
ローゼンブラット証券のアナリスト、ハンス・モーゼスマンは、現在は「『すべてのサイクルの母』と呼ぶものの初期段階にある」と表現している。モーゼスマンは、エヌビディアの株価が800ドル未満だった今年2月以来、目標株価を1400ドルに設定している。
CEOは資産が一時1000億ドル超に
フォーブスの算出によればファンは28日、純資産額が一時1000億ドル(約15兆7000億円)に達した。資産1000億ドル以上の「センティビリオネア」は同日時点で、世界でもファンを入れて16人だけだった。ファンの資産額は主にエヌビディアの3.7%の株式と連動しており、フォーブスの2016年の米国版長者番付では17億ドルにとどまっていた。(forbes.com 原文)