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2024.05.29 12:00

OpenAIが「GPT-4の後継モデル」の訓練に着手、安全委員会も新設

OpenAIのCEOのサム・アルトマン(Getty Images)

OpenAIは米国時間5月28日、新たな安全・セキュリティ委員会を設立し、次の人工知能(AI)モデルのトレーニングを開始したとブログで発表した。ChatGPTを支える技術の後継モデルに対する期待が高まる中、同社にとっては珍しい情報公開となった。

OpenAIは、「次のフロンティアモデル」のトレーニングを開始したと発表した。このモデルは、同社が将来的に汎用人工知能(AGI)と呼ばれるAIを構築するミッションにおいて、「次のレベルの能力」を提供するものになると同社は説明した。

この新たなモデルは、OpenAIの基盤モデルであるGPT-4に取って代わる可能性が高く、画像ジェネレーターやバーチャルアシスタント、検索エンジン、そして同社が提供するチャットボットのChatGPTのような生成AIツールを支えるものになる。

OpenAIはまた、新たな技術がもたらすリスクを評価するための委員会を新設したと発表した。この委員会は、同社のCEOで共同創設者のサム・アルトマンと、取締役会メンバーであるブレット・テイラー、アダム・ディアンジェロ、ニコール・セリグマンの3名が共同で率いるという。

委員会の最初のタスクは、今後90日間で会社のプロセスと安全措置を見直し、発展させることであり、その後、全取締役会と提言を共有する予定という。

これはGPT-5なのか?

OpenAIは、現在トレーニング中のモデルの名称を明らかにしていないが、これまでのところ同社は新たなバージョンに現状よりも大きな数字を割り当てており、現在のモデルがGPT-4であるため、次のフラッグシップモデルはGPT-5になると予想される。

メタのLlama 3(ラマ3)やグーグルのGemini(ジェミニ)、アンソロピックのClaude 3(クロード3)などのライバルとの競争が激化する中で、OpenAIは今後数カ月のうちにGPT-5をリリースすると広く予想されている。

OpenAIのこの発表は、透明性を重視する姿勢をアピールしているが、同社が新たな委員会の提言を共有する意欲があるかどうかについては、曖昧な部分が多い。OpenAIは、委員会が取締役会に報告を行った後、それを「安全とセキュリティに一致する方法で」公開するとしているが、初期の90日間が経過後のいつ、それを行うかを明言していない。

また、同社の言い回しは、採用を決定した提言を開示することに限定されており、内部で意見の対立があった場合にそれが開示されるかどうかは分からない。

特に内部での意見の相違や元スタッフからの批判、および会社のいくつかの主要な安全リーダーの退社に対する最近の批判を考慮すると、OpenAIとその委員会はAIの安全に関するコミュニティから厳しい監視を受ける可能性が高い。

フォーブスは、アルトマンの保有資産を10億ドル(約1570億円)と試算している。彼はOpenAIの株式を保有しておらず、彼の資産は同社の成功によるものではない。アルトマンは、その代わりに多くのスタートアップへの投資を成功させており、そこにはフィンテックのStripe(ストライプ)や掲示板サービスのReddit(レディット)、核融合発電のスタートアップHelion(ヘリオン)などが含まれている。

彼は、OpenAIを共同創業する以前にソーシャルマッピング会社のLoopt(ループト)を設立し、著名なスタートアップアクセラレーターのY Combinator(Yコンビネータ)でパートナーおよびプレジデントを務めていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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