北米

2024.05.27 12:00

米学校銃乱射事件の遺族がメタや「ゲーム大手」を相手取る訴訟

Robb Elementary School on April 27, 2023 in Uvalde, Texas.(Photo by Brandon Bell/Getty Images)

2022年にテキサス州ウバルデの小学校で発生した銃乱射事件の犠牲者の遺族が、銃の製造元やインスタグラムの親会社であるメタ社、そして、シューティングゲーム『コール・オブ・デューティ』の開発などで知られるマイクロソフト傘下のアクティビジョンらを相手取った訴訟を起こし、これらの企業が銃を宣伝したことが、19人の児童と2人の教師を死亡させた事件につながったと主張している。

カリフォルニア州で起こされた訴訟は、メタとアクティビジョンを相手取ったもので、遺族が起こした別の訴訟は、事件で使用されたAR-15型ライフルの製造元のダニエル・ディフェンスを相手取っている。

カリフォルニア州の訴訟の原告らは、アクティビジョンとメタが「前例のない24時間365日の子供への直接アクセスを許すことで、銃器メーカーの武器市場拡大の努力を幇助した」と主張している。原告らは、アクティビジョンがコール・オブ・デューティを通じて、「青少年をガンマンに訓練するビジネス」をしていると主張しており、メタはインスタグラムにおいて「表向きは銃器広告を禁止しながらも、それを簡単に回避できる抜け道を用意して、未成年者に直接話しかけられる、監視のないチャンネルを提供している」と述べている。

原告らは、ウバルデの銃撃犯がコール・オブ・デューティを「執拗にプレイしていた」と主張し、彼がゲームを通じてダニエル・ディフェンス製のライフルを発見し、インスタグラムの広告を見て、この銃に対して「不健全で強迫的な関係」を築いたと述べている。

アクティビジョンはフォーブスに寄せた声明で、今回の銃撃事件を「あらゆる意味で恐ろしく、心が痛む」と述べ、「世界中の何百万人もの人々が、恐ろしい行為に走ることなくビデオゲームを楽しんでいる」と付け加えた。

テキサス州のダニエル・ディフェンスを相手取った訴訟で、原告らは、AR-15型ライフルの製造元として利益を得ている同社が「攻撃的な感覚や権力欲を煽るマーケティングに弱い若者たちを感化する戦術を用いた」と主張している。

この事件の犯人である当時18歳のサルバドール・ラモスは、ウバルデのロブ小学校でAR-15型ライフルを数百発乱射した。この事件に対応した警察は、犯人を逮捕するまでに77分もの時間を要したとして批判にさらされており、州の報告書では、その対応の甘さは「組織的な失敗」と「著しい判断ミス」によるものだったと非難されている。

マイクロソフトは昨年10月、コール・オブ・デューティや『World of Warcraft(ワールド・オブ・ウォークラフト)』を運営するビデオゲーム大手のアクティビジョン・ブリザード(アクティビジョンの親会社)の買収を687億ドル(約10兆7000億円)という巨額の費用を投じて完了させ、世界第3位のゲーム会社となった。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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