サイエンス

2024.05.25 12:00

デート相手をキープする「ペーパークリッピング」の心理学

理由その1:親密な関係への恐れ

真剣な交際に踏み込むことや、それに伴って感情的に傷つくことを恐れているという理由から、ペーパークリッピングに及ぶケースがある。

人とのつながりを切望する気持ちはあるのかもしれないが、真剣な恋愛関係に身を置くことは難しく、感情的な距離を保つ手段としてペーパークリッピングに頼るのだ。

こうした行動を理解する上で重要な心理学の概念が、不安定な愛着スタイルである。

・不安型:この愛着スタイルに該当する人は、親密な関係を切望し、見捨てられることを恐れる。気になる相手とのつながりを保つためにペーパークリッピングを行う場合があり、そこには時折連絡を取ることで安心感や感情的な裏付けを得たいという心理がある。だが、相手に拒絶されることを恐れる気持ちから、すぐに身を引いてしまいがちだ

・回避型:この愛着スタイルをもつ人は、自分が独立していることに価値を置いており、人と親密になりたい欲求を満たしつつ自分のペースで物事を進める手段としてペーパークリッピングを行う。付き合い始めの段階では交際を楽しめるかもしれないが、関係が進展し、より多くの感情を注ぎ込む必要が生じる状況になると、どうしていいかわからなくなる。そこで「身動きが取れない」「息が詰まる」といった感覚を避けるために、相手と距離を置くことになる。

・不安/回避型:この愛着スタイルの人は、親密な関係を求めているが、一方でそれを恐れるという矛盾した心情を抱えている。こうした内面の葛藤が、恋愛においては相反する行動につながる。そのため、ごく短期間はつながりを持つものの、真剣な関係を結んだり感情を相手に見せるリスクを冒したりするには至らない。
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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