問題はこれらの事業を支える専門知識が失われつつあるため、うまく運営することがますます難しくなっていることだとジョシは指摘する。「メーカー各社はこれまでとは大きく異なる従業員の年齢構成に直面している。従業員の25%が55歳以上、平均年齢は44歳超と高齢化が進んでいる。そして新人の採用ペースは遅いため、人材がかなり不足している」ジョシによると、どの企業もかつては何十年も経験を積んだ人を雇っていたが、そうした人たちはいま引退しつつあり、替えがきかない。
これは特にアフターセールス市場に切迫した状況をもたらし得る。経験豊富な従業員は部品交換のタイミングや新しい設備が必要になる時期など、顧客が手助けやサポートを求めそうなタイミングを的確に把握している。このようなニーズは業種や地域によってさまざまで、 ニーズの把握は直感的なものであり、習得するのに何年もかかる洞察だ。
「これをトライバルナレッジ(部族的知識)と呼ぶが、当社の仕事はその知識を制度化することだ」とジョシは説明する。「知識がなければ、メーカーは既存の顧客にサービスを十分に提供することがますます難しくなってしまう」
Entytleのソリューションは専用のインテリジェンスプラットフォームだ。最新のデータストレージ技術を使用し、実用的な洞察を得るのに機械学習を活用している。メーカーが自社の機器がどこに配置され、時間の経過とともに機器がどうなるか、それにどのように対応するかについて完全な記録を持つべきという発想だ。
例えば、2つの異なる業界の顧客に同じポンプを販売している企業は、機器の使われ方が異なるため、顧客への部品交換の提案を数年ずらして行う必要があるかもしれない。従来であれば、メーカーの経験豊富な従業員が直感的にそのことを知っていただろう。Entytleはメーカーと顧客の過去のやり取りに関するデータに基づいて、いつ顧客に連絡すべきかを提案することでその役割を担うことができるとジョシは考えている。