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2024.05.22 08:00

消えゆくベテラン従業員の知恵、テックで「制度化」支援するインド企業

Shutterstock.com

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インド拠点のスタートアップEntytle(エンタイトル)の創業者であるヴィヴェック・ジョシは世界のいくつかのメーカーで20年間、上級の役職を務め、メーカーの秘密の1つを知っている。「アフターマーケットとサービスのビジネスモデルの価値を認識するようになった。メーカーは機器を販売して収益を上げていたが、機器の耐用期間に得られる収益にも重点を置いていた」とジョシは説明する。「こうした事業はうまく運営されれば根幹の事業より早く成長し、収益性が4倍以上になることも多い」

問題はこれらの事業を支える専門知識が失われつつあるため、うまく運営することがますます難しくなっていることだとジョシは指摘する。「メーカー各社はこれまでとは大きく異なる従業員の年齢構成に直面している。従業員の25%が55歳以上、平均年齢は44歳超と高齢化が進んでいる。そして新人の採用ペースは遅いため、人材がかなり不足している」ジョシによると、どの企業もかつては何十年も経験を積んだ人を雇っていたが、そうした人たちはいま引退しつつあり、替えがきかない。

これは特にアフターセールス市場に切迫した状況をもたらし得る。経験豊富な従業員は部品交換のタイミングや新しい設備が必要になる時期など、顧客が手助けやサポートを求めそうなタイミングを的確に把握している。このようなニーズは業種や地域によってさまざまで、 ニーズの把握は直感的なものであり、習得するのに何年もかかる洞察だ。

「これをトライバルナレッジ(部族的知識)と呼ぶが、当社の仕事はその知識を制度化することだ」とジョシは説明する。「知識がなければ、メーカーは既存の顧客にサービスを十分に提供することがますます難しくなってしまう」

Entytleのソリューションは専用のインテリジェンスプラットフォームだ。最新のデータストレージ技術を使用し、実用的な洞察を得るのに機械学習を活用している。メーカーが自社の機器がどこに配置され、時間の経過とともに機器がどうなるか、それにどのように対応するかについて完全な記録を持つべきという発想だ。

例えば、2つの異なる業界の顧客に同じポンプを販売している企業は、機器の使われ方が異なるため、顧客への部品交換の提案を数年ずらして行う必要があるかもしれない。従来であれば、メーカーの経験豊富な従業員が直感的にそのことを知っていただろう。Entytleはメーカーと顧客の過去のやり取りに関するデータに基づいて、いつ顧客に連絡すべきかを提案することでその役割を担うことができるとジョシは考えている。
次ページ > 「自身のメーカーでの経験が強みだ」

翻訳=溝口慈子

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