欧州

2024.05.12 11:00

ロシア軍部隊、頼みの防衛手段は「散弾銃」ドローンに追い回される中

セミオート式の散弾銃ヴェープル12モロト(Shutterstock.com)

教官は不発弾やブービートラップが仕掛けられたドローンの危険性を指摘しつつ、「撃墜したことを証明するためにドローンを回収しに行ってはいけない。撃ち落としたドローンを手で拾ったり、ドローン搭載の手榴弾の紐を引っ張ったりするのはとんでもない」という。「残念ながら、すでにそのような事例がある」とも語った。
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散弾銃は、頭上から爆弾を落とす「ドロップドローン」やあちこち飛んでいるFPVを撃ち落とすことができる。教官はエスコートの発射速度を賞賛し、最大120m離れたところにいるドローンを撃墜することができるという。FPVは狙うのが難しいが、散弾銃があれば生き残れる可能性は高まる。

「逃げるのに比べれば、ずっとましだ。保証する」と教官はいう。

いずれは対抗手段も

将来的には、ドローンから部隊を守る任務に特化した兵士が各分隊に1人必要になるかもしれない。全部隊に散弾を発射する軽量武器を支給することを提案する人もいる。ウクライナ製の「MSD-5」をFPV対策の最後の切り札として採用する実験も行われている。MSD-5は照明弾やその他の低速弾を5発発射できる拳銃だ。

だが、散弾銃はせいぜい部分的な解決策に過ぎない。多くの場合、FPVの攻撃を受けた兵士はFPVが向かって来るのを目や耳で確認することすらできない。また、夜間攻撃用に赤外線サーマルカメラを搭載したFPVの数はロシア、ウクライナ軍双方で増えている。暗視機能のようなものがなければ散弾銃は役に立たない。だが暗視機能があれば、暗闇の中で大型ドローンを撃ち落とすことができるかもしれない。
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そして最後に、散弾銃がFPVに対して効果を発揮するようになれば、ドローンもそれに対応して進化を遂げるだろう。米国のある企業はすでに、散弾の爆風をしのぐことができる「ウィドウ」と呼ばれる装甲を施した「散弾銃に強い」ドローンを製造している。

一方、逃げ惑うロシア軍兵士らはFPVに次々と狙われる中、散弾銃を求め続けている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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