請願書はウクライナの一般市民が7日に投稿した。ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領に対して、「ウクライナの領土の一体性を取り戻す」のを支援するため、欧州連合(EU)、英国、北アイルランド、米国に軍隊の派遣を要請するよう求めている。
ゼレンスキーに請願書を検討してもらうには2万5000人分の署名が必要だが、日本時間9日未明時点では二千数百人となっている。請願書の期限は今年8月7日。
ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は8日の記者会見でさっそく反応し、ロシアによる対ウクライナ戦争にNATO軍が直接介入すれば「非常に危険な」結果を招きかねないと警告した。請願書は「言語道断の挑発」だと非難し、引き続き注視する考えも示した。ロシア国営のタス通信が伝えた。
ウクライナ政府は2015年に請願サイトを開設した。2022年2月にロシアの全面侵攻を受け始めてからは、請願書はウクライナ軍人の死後叙勲を求めるものが大半を占めるようになっている。
2万5000人分の署名が集まっても、ゼレンスキーが対応するとは限らない。必要数の署名を集めた請願書2000件近くが「検討中」となっており、それには2019年に投稿されたものも含まれる。
仮にゼレンスキーがNATOに軍隊の派遣を要請したとしても、NATO側は必ずしも応じる必要はない。
マクロンの「派兵におわせ」にも反発
欧州やNATOの首脳は決まってウクライナへの軍隊の派遣を否定してきたが、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は先週公開された英誌エコノミストのインタビューで、ロシア軍がウクライナの前線を突破したりウクライナ側から要請があったりすれば、ウクライナへの派兵を検討する意向を示した。これに対してロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は8日、「フランス(の部隊)が紛争地帯に現れれば、(ロシア軍の)目標になることは避けられない」と警告した。ロシア国営RIAノーボスチ通信が報じた。
マクロンは2月にも、NATOは「ロシアがこの戦争に勝てないようにする」ために、ウクライナに派兵する選択肢を排除していないと述べていた。派兵に関してNATOで合意はないとも説明した。
ドイツや米国といったNATOの主要加盟国やNATOのイエンス・ストルテンベルグ事務総長はすぐにマクロンの発言を打ち消し、NATOに派兵の「計画はない」と言明した。
(forbes.com 原文)