コペンハーゲンに本拠を置くジュエリー・ブランドのパンドラは、2024年第1四半期に年間売上高を18%増加させ、今期は8%から10%の成長を見込んでいる。ラボグロウンダイヤモンドが87%増と急成長を遂げたことが、同ブランドにとって「ポジティブ・ハロー効果」を生んだ。
パンドラは昨年9月にラボグロウンダイヤモンド(合成ダイヤモンド)の取り扱いを倍増させ、商品ラインナップを拡大した。これがパンドラの全製品にわたる需要を高めた。特に同社最大の市場である米国では、売上が前年比16%増を記録した。
好調な業績を背景に、同社の株価は過去12カ月で80%以上も急騰した。
ラボグロウンダイヤモンドは、全世界におけるダイヤモンドジュエリーの売上高の20%に過ぎず、その大部分は依然として天然ダイヤモンドが占めていると、ダイヤモンド業界のアナリストであるポール・ジムニスキーは述べている。しかし、ラボグロウンダイヤモンドの売上は急激に伸びており、2022年には全世界の売上高が前年比38%増の約120億ドル(約1兆8500億円)近くにまで上った。2016年の10億ドル(約1540億円)から大きく増えていることがわかる。
人工的に作られたダイヤモンドが好調である一方で、今も天然ダイヤモンドを専門に扱っている企業は、需要減退と供給過剰が招いた価格下落によって低迷している。歴史的にダイヤモンドの供給を先導してきたDe Beers(デビアス)の親会社は、2月に16億ドル(約2500億円)の評価減を受けた後、事業の売却を検討していると、ウォールストリート・ジャーナル紙は4月25日に報じていた。
天然ダイヤモンドに特化した世界最大のダイヤモンド宝飾品の小売業者であり、Kay Jewelers(ケイジュエラーズ)やZales(ジールズ)などのブランドを展開しているSignet Jewelers(シグネット・ジュエラーズ)は、直近の四半期に既存店売上高が9.6%減となったことを報告した。同社の最高経営責任者(CEO)は、消費者の価格志向が続く中、独立系ジュエラーによる人工的に作られた製品の「大幅な値下げ」によってもたらされた課題について言及した。