世界経済の先行き不透明感、ウクライナや中東での戦争など、複数のマイナス要因が、まさに1年で一番のかき入れ時期にダイヤモンドビジネスを混乱させている。
ダイヤ業界を代表するデビアスは、価格の急落や需要の軟化により販売不振に陥っている。このため同社は2000万ドル(約30億円)を投じて販促活動を開始した。賞を獲得したことのあるキャッチコピー「ダイヤモンドは永遠の輝き」で1947年に始まった販促キャンペーンを復活させる。
需要減退の深刻さは、デビアスの10月の売上が前年同月比61%減だったことや、ダイヤモンドのオンラインオークションを年内中止とすることからも明らかだ。
こうした状況について、デビアスのアル・クック最高経営責任者(CEO)は、業界の特定の分野における「在庫の蓄積」を指摘した。同社は鉱業最大手の1つであるアングロ・アメリカンの傘下企業だ。
ダイヤ市場が次に試されるのは、デビアスの今年の第9期販売サイクル(11月7〜12日)だ。
クックは先月の第8期販売サイクル終了後に、2000万ドルを投じる広告キャンペーンは「ホリデーシーズンの消費者需要を喚起するため」のものだと説明した。
ダイヤの需要は周期的で、消費者心理に大きく左右されることで知られている。金利が高く、生活費が高騰しているような厳しい時期には特に需要は落ち込む傾向にある。
だが今回は新たな課題がある。拡大している市場シェアが合成ダイヤに押されていることだ。
初期には普及する見込みがないと見なされていた合成ダイヤは、ダイヤ市場全体、特に安価なダイヤの市場に徐々に食い込んできている。
技術が向上し、新規参入の障壁がなくなったことで合成ダイヤ部門は発展し、ダイヤの価格を暴落させ、ダイヤは高級品であるという概念に打撃を与えた。