北米

2024.05.05 18:30

大谷翔平新通訳、水原一平とは全然別の訳し方。違いは「行間」


水原氏もアイアトン氏も、野球選手の通訳として高い経験値に裏付けされたスキルを持っていることは間違いない。しかしその両通訳者の流儀には違いがある。その違いこそが、対話やクライアントに異なった影響を与えるのである。そればかりでなく、水原氏のような「心得た」通訳でさえ、経験が浅いトピック(上の場合の「結婚会見」など)の通訳であれば、要点を捉えることが難しくなる。

日本はまだまだこれから世界に出ていくシーンが増えていくだろう。その際に通訳者の力を借りることも増えていくことが予想されるが、国際コミュニケーションをより円滑に行うためにも、日本と海外では行間の違いがあることを理解した上で、まずは通訳者の流儀を理解し、通訳者と信頼関係を築くことに努めるべきだろう。

さらには(費用面などの相談は必要になるだろうが)、あらかじめ質疑応答のシミュレーションを行い、少なくとも「依頼者の行間」を通訳者にしっかり理解してもらっておくことは、事業の国際展開を成功に導く鍵の一つとなるだろう。

日本と英語の行間の違いでコンサルティングを行っている筆者の視点から、前回に続き、本稿でも両通訳者の違いを見てきた。読者であるビジネスパーソン諸氏にとって、国際ビジネスの成功へのヒントとなったとすれば幸いである。


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松樹悠太朗(まつき・ゆうたろう)◎1978年香港生まれ。国際交渉のコンサルティングを行うYouWorld 代表取締役。特徴的な技術は、日本語と英語の行間や作法の違いによるコミュニケーションのニュアンスを調整すること。特に国際交渉の軌道修正、効果的な英文Eメール、プレゼン資料の修正において成果を上げている。クライアントはスタートアップCEO、金融機関取締役、日系商社支社長、製薬関連企業代表、日本刃物ブランドなど。


(以下は上で紹介した「実例」を表にしたものである:内容は同じ)





文=松樹悠太朗 編集=石井節子

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