北米

2024.05.05 18:30

大谷翔平新通訳、水原一平とは全然別の訳し方。違いは「行間」

Getty Images

結婚会見での水原氏の「失敗」


だが、実は水原氏でも経験値が足りないことが読み取れた大谷選手のインタビューがある。大谷選手が結婚を発表した際の囲み取材である。
advertisement

大谷選手はインタビュアーに「What can you tell about your new wife?(奥様について何か教えてくれる?) 」と聞かれた際、水原氏の通訳を通じて、奥様の真美子さんのことを「普通の人ですよ」と答えていた。

しかしである。この「普通の人」という日本語の行間はとても広い。日本の芸能人が自分の結婚相手を「普通の人、一般の人、一般人」と表現した場合、「(私と同じような)芸能人ではない」ことを意味する。

大谷選手の結婚発表の際のインスタグラムを読むと、メディアに対して「両親族を含め無許可での取材などはお控えいただきますよう宜しくお願い申し上げます」と発言していたこともあり、この「普通の人」という表現は「平凡でどこにでもいる人」という意味ではなく「私のようなメディアに出る人ではない、一般の人」という行間があったと読み取ることができる。
advertisement

しかし水原氏にとって、大谷選手の結婚発表の通訳はもちろんこの時が初めてであり、インタビュアーの「What can you tell about your new wife? 」をそのまま「奥様について何か教えてくれる?」と通訳した上、大谷選手が言った「普通の人」を「She is a normal Japanese woman.」と訳してしまった。

これまでの水原氏のインタビューを見れば、結婚発表の通訳経験があれば、インタビュアーの質問を「大谷選手にとって真美子さんはどのような存在ですか?」と通訳しただろうことは容易に推測できる上、大谷選手の真美子さんに対する発言も「彼女は私のような芸能人でありません」と、誰が聞いても分かるように、英語の行間を汲んで通訳しただろう。

後日、英語の記事ではこの「She is a normal Japanese woman.」という訳に対して「not celebrity / non-celebrity(芸能人ではないという意味)」と注意書きを入れた記事があったことからも、この表現が英語では理解しづらいものだったことが分かるだろう。
次ページ > 「依頼者の行間」を通訳者にしっかり理解してもらっておく

文=松樹悠太朗 編集=石井節子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事