3. ショーリングは繁殖の選択肢を広げる

しかし、繁殖行為そのものにも課題がある。その期間中、魚たちはより目立ちやすい行動をしたり特定の場所に集まることで捕食者の注意を引きかねない。交尾相手に見つけてもらう必要性は、必然的に彼らを捕食者に対してより脆弱にする。また生息密度の高い繁殖領域では、交尾相手探しの競争が熾烈になりやすく、最良のパートナーを見つけようとする魚たちの肉体的な疲労やケガにつながりかねない。こうしたリスクにも関わらず、一般に交尾成功率が上昇するメリットは、潜在的なマイナス面を上回るため、スクーリングは繁殖成功への効果的な戦略となっている。
4. ショーリングは効率のよい採餌戦術

この「多くの目」というアプローチによって、どの1匹の魚が食料を発見してもスクール全体の利益となり、個々で行うよりもより効果的かつ迅速に食料源を見つけて利用できる。
さらに、ショールは水中を移動する際により広い領域をカバーすることが可能なので、食料に遭遇する確率が高まる。この組織的な努力は採餌の効率を最大にするだけでなく、個体あたりに必要なエネルギー消費を最小にするため、競争の激しい海洋環境におけるきわめて効率の良い生き残り戦術になっている。
5. 群れの魚たちは生き残りスキルを効率的に教えあう

ショールの中の1匹が、たとえば直接体験を通じて捕食者について学習すると、その知識は仲間たちの間で迅速に共有され、情報の質は元のまま維持される。この効率的な知識の伝達によって、グループの各メンバーは正確なリスク評価に基づいて自らの行動を適合させ、グループ全体の生存確率が高まる。
集団で学習して迅速に適応するこの能力は、サンゴ礁のような変化に富む危険な環境の中では不可欠であり、群れをなすことの進化上の利点を改めて証明するものだ。
(forbes.com 原文)