鳥インフルのヒトへの感染「大きな懸念」 WHO、高い致死率に言及

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世界保健機関(WHO)は18日、鳥インフルエンザについて、ヒトなど哺乳類への感染が相次いでいることに強い懸念を示した。ヒトからヒトへの感染が起こる可能性についても警鐘を鳴らした。現時点でヒト間の感染は確認されていないものの、牛などの哺乳類からヒトへ感染するようにウイルスが変異している点に注意を促した。

致死率52%

WHOの主任科学者であるジェレミー・ファーラーが同日の記者会見で述べた。

ファーラーは高病原性の「H5N1型」鳥インフルエンザウイルスが世界的に広がっていることの深刻さを強調し、このウイルスのヒトでの致死率は「極めて高い」とも言及した。

WHOの最新の報告書によれば、鳥インフルエンザのヒトへの感染は2003年1月から2024年3月28日までに23カ国で計888例報告されており、うち463例が死亡につながっている。死亡率は52%に達する。

鳥インフルエンザの現在の世界的流行は2020年に欧州から始まり、これまでに数億羽の家禽が死んだり殺処分されたりしている。ウイルスは牛やヒトなど哺乳類も感染するように進化してきており、ファーラーはこうした状況に「大きな懸念」を示した。

ヒトからヒトへの感染は確認されていないが、ほかの哺乳類からヒトに感染するようにはなっている。ファーラーはそれを踏まえ、ウイルスがさらに変異してヒトからヒトに広がる可能性も警告した。

ファーラーは「鳥インフルエンザはここ1、2年で大きく広がり、人獣共通感染症としてパンデミック(世界的大流行)になっている」と説明。そのうえで、ヒトからヒトへの感染が起こり始めた場合に備え、「ワクチンや治療、診断への公平なアクセスを確保しつつ、迅速に対応する」ための取り組みを進めていると明らかにした。

ヒトで大流行が起こる可能性は?

鳥インフルエンザをめぐっては、よりヒトに近い種である牛でも広がっていることから、ヒトでの感染拡大を懸念する声もある。もしヒトで大流行した場合、死亡率が高い点が非常に懸念される。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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