政治

2024.04.11 08:00

NATO創設から75年 各国が国防費を拡大、世界は戦争の新時代へ

他方で、投資家にとっては、軍事費の増加は魅力的な機会となる。米国では、国防総省の支出の半分以上が軍事請負企業に支払われており、2021年の請負企業との契約総額は約4000億ドル(約60兆6400億円)に上った。この金額は、米国内にある数千社の請負企業や下請け企業に分配されるが、ロッキード・マーチン、ボーイング、RTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)、ゼネラル・ダイナミクス、ノースロップ・グラマンの主要5社が、全体の30%近くを受け取っている。

一方、米国の防衛関連のAI企業は比較的多様で、米ジョージタウン大学の安全保障・新興技術センター(CSET)によれば、最近のデータセットでは、300件の契約が249社の企業に分散している。このうち複数の契約を獲得した企業は36社に過ぎず、3件以上の契約を獲得したのは、大手のロッキード・マーチンやノースロップ・グラマンを含む8社にとどまった。このように、AI関連の契約が集中する少数の主要企業は、革新的な軍事技術に対する需要が高まる中で有利な立場にあることを示している。

防衛関連株に対する明るい見通し

防衛関連株への投資には、他の分野と同様にリスクが伴う。防衛分野は、政府の政策や地政学的な情勢、国民感情に大きく左右されるからだ。政治指導者の交代や外交政策の転換、軍事介入に対する世論の変動などはすべて、防衛関連株の動きに影響を与える。防衛産業は政府の厳しい規制や監督下にあり、企業が契約を獲得したり製品を輸出したりする可能性にも影響が及ぶことがある。

こうしたリスクはあるものの、防衛関連株の長期的な見通しは明るいと筆者は考えている。世界各国が軍事費を増大させていることから、防衛技術や技術革新の最前線にいる企業は恩恵を受けやすい。武器貿易の国際市場で強い存在感を示し、最先端のAI技術を持つ米国の防衛産業は、特に有利な立場にある。

NATOに対しては否定的な見方もあるが、国際情勢の安定を維持する上で、同機構の役割はかつてないほど重要になっている。賢明な投資家にとっては、特に米国の大手請負企業からの革新的な防衛技術に対する需要の高まりから利益を得る、またとない機会が到来している。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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