「まさに、こだわり抜いたレシートの短かさ。これに気づいていただける人がいたとは!と、苦労が報われた気持ちで一杯です(涙)。多額の借金を抱え、できることはすべてやる。燃費アップのために急加速の回数をカウントして見える化したり、社内の蛍光灯の全てにヒモを付けて無駄な電気を消したり。その一環として目をつけたのがレシートでした。
フォントを小さくし、必ずしも必要のない情報を削り、元々の3分の1の長さにすることができた。その結果、ご指摘の通り、ロール紙の交換の手間が減り、紙の無駄が減り、お客様のお財布も薄くすることができました。気づいていただき感謝感激です!」
予想は的中した。川鍋さんによると、文言を削ることに反対されたり、そもそも短すぎるとお客さんに渡すときに切りにくいなどの問題もあり、調整に大変苦労されたそうだ。それでも過去20年、この取り組みに気づいた人は数人だったとのこと。
川鍋さんは日本交通の創業家3代目。1900億円の借金を抱えたまま社長に就任した後、オペレーションの強化やIT分野への投資を徹底的に行い、見事に経営再建させた凄腕の経営者だ。その快進撃は単なる業務改善の積み重ねではなく、志と合理性のせめぎ合うところで、ヒリヒリする折衝を重ねてきた結果であり、そういったところからライフスタンスは滲み出てくるものなのだと思う。
現在、いよいよ4月から解禁となった日本版ライドシェアを巡り、政府、自治体、タクシー業界、消費者の思惑が交錯するなか、議論が熱を帯びている。川鍋さんであれば、必ず日本がより良くなる落とし所を見出してくれるだろう。
そんな川鍋さんの日本交通のライフスタンスを信頼しているから、私は今日も「N」のマークのタクシーを狙って手を上げる。