ビジネス

2024.01.04

日本の地方が人類の希望に。ゼブラ的「街づくり」のインパクトとは

NEWLOCAL代表取締役 石田遼(左)とZebras and Company(ゼブラ アンド カンパニー)代表取締役 田淵良敬(右)

ユニコーンならぬ「ゼブラ」。急成長を優先するのではなく、事業を通じてより良い社会をつくることを目的としたゼブラ企業に今、注目が集まっている。2023年の6月には、日本政府の「経済財政運営と改革の基本方針2023(通称「骨太の方針」)」で、ゼブラ企業を推進する方針が発表された。
 
そのゼブラ企業を支援する会社が、ゼブラ アンド カンパニーだ。「優しく健やかで楽しい社会を作る」をビジョンに掲げ、ゼブラ企業の経営に必要なファイナンス手法や事業開発や成長方法の提供・発信はもとより、自治体や金融機関など多様な関係者との協業を行なっている。
 
2023年9月末、ゼブラ アンド カンパニーが4号目となる投資を実行した。投資先は、地方の不動産開発を中心としたまちづくりを行うニューローカル(NEWLOCAL)だ。同社の何にゼブラの要素を見出し、今後どのような連携をしていくのか。両社代表の田淵良敬(ゼブラ アンド カンパニー)と、石田遼(ニューローカル)に話を聞いた。
 

──まずはじめに、ゼブラ企業について教えてください。
 
田淵:ゼブラ企業は、一部のユニコーン企業のような短期・独占・株主至上主義といったあり方に危機感を覚えた米国の4人の女性起業家が、2017年に提唱した概念です。利益を追求するだけでなく、社会をより良くすることを目的とし、多数の事業者が互いに助け合う相利共生の精神で問題解決や成長を目指す在り方ですね。
 
例えば、僕たちが投資を行う時に一番大切にすることは、経営者が作ろうとしている世界観です。 ビジネスのテクニカルな面は後でいくらでも変えられますが、経営者の持っている世界観は変えられません。通常のVCももちろんその点は重要視しますが、ビジネスモデルや事業計画に重きを置く場合も多い。徹底したビジョンドリブン、これがゼブラ アンド カンパニーのスタイルです。
 
──ニューローカルはどのようなビジネスモデルですか?
 
石田:ニューローカルは、不動産の開発・運営をベースに、地方のプレーヤーと一緒に会社をつくって、街づくりを行なっています。現在は長野県野沢温泉・御代田町、秋田県男鹿市の3つの地域で活動しており、今後5年間で10地域、総額100億円程度の規模を目指しています。収益は宿や飲食店の売り上げから、コンサル、住宅の販売に至るまで多岐に渡るので、ディベロッパーに近いビジネスモデルですね。
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我々は、「地域からハッピーシナリオを共に」というミッションを掲げています。人口減少が進んでいくなか、どうやって未来に対して希望を持つのかというシナリオを、21世紀の人類はまだ持てていません。20世紀は人口が増えることで経済が成長し、今日より明日がハッピーという世界観を描くことができた。ところが21世紀は先進国を筆頭に、少子高齢化による問題が顕著になり、今まで通りの成長・拡大は見込めません。
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文=国府田淳 写真=杉能信介

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