欧州

2024.04.07 11:00

「70年前の戦車を使うエリート師団」が映すロシアの苦境と魂胆

ロシア中部トゥーラの兵器博物館で屋外展示されているT-55戦車。2022年5月撮影(Nadezhda Gerasimova / Shutterstock.com)

ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は4日の戦況評価で、ロシア軍はウクライナ東部ドネツク州のバフムート方面で「装甲車両不足のため、(ウクライナ側の)防衛部隊の陣地に対して歩兵による突撃を余儀なくされている」と報告している。
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ロシアが、補充できるペース以上の速さで軍事リソースを費やしていることはもはや明白だ。理由を推測するのは難しくない。

英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のアナリスト、ジャック・ワトリングとニック・レイノルズは2月13日の報告書で、「軍事援助が大幅に制限された結果、ウクライナ軍の弾薬の在庫が払底すれば、ロシア軍は戦場で、たとえゆっくりでも大きな前進を遂げるために、さらなる攻撃作戦を開始しようとするだろう」と予測していた。「ロシアはその前進をテコに、みずからの望む条件でウクライナに降伏を強いる考えだ」ともみていた。

7週間後、まさにそのとおりになっている。米国の援助停止の必然的な結果として、ウクライナ軍の弾薬の在庫が絶望的なまでに減っていることから、ロシア軍の首脳部は今こそ前進の好機とみている。たとえその前進が大きな損害をともない、失った近代的な車両の多くを、著しく老朽化した車両、もっとひどい場合は民生車両で補わなくなったとしてもだ。
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最悪の場合、補充する車両がなくなっても。

だが、これは裏を返せば、ウクライナに展開しているロシア軍は今を逃せば後がないということでもある。現在の攻勢が失敗し、米国の援助がようやく再開してウクライナ軍の装備が回復したとき、ロシアはすでに軍備を使い果たしていて、それを早期に回復させる方法もない状態に陥っているかもしれない。そして、ウクライナ側が再び主導権を取り戻せるかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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