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2024.04.04 07:50

献「便」で難病患者に光 日本初「腸内細菌叢バンク」

TopMicrobialStock / Shutterstock.com

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献血ならぬ献「便」で治せる難病がある?! 腸内細菌研究に基づく医療と創薬を手がけ、Forbes JAPAN 2024年1月号掲載の「2024年注目の日本発スタートアップ100選」にも選ばれているメタジェンセラピューティクスは4月2日、腸内細菌叢バンク「J-Kinsoバンク」の運用を開始した。同社によると、腸内細菌を用いた医療技術・医薬品の研究開発への活用を目的とした腸内細菌叢バンク運用は日本初の試みとなる。同時に、腸内細菌ドナーの募集も開始された。

健康の新たなバロメーターとして近年脚光を浴びるようになった腸内細菌叢。便を通じて健康な人の腸内細菌叢を患者の腸に移植する腸内細菌叢移植(Fecal Microbiota Transplantation、以下FMT)は欧米において難治性クロストリジオイデス・ディフィシル感染症(以下、rCDI)の治療のために用いられており、アメリカでは年間48000件、ヨーロッパでは12400件実施されていると推定されている。また、2022年にはアメリカとオーストラリアでヒトの便由来の腸内細菌を使った医薬品(rCDI治療薬)が承認されている。

日本においてはrCDI治療のためのFMTが2020年に、潰瘍性大腸炎(安倍晋三元首相が患っていた指定難病)治療のためのFMTが2023年にそれぞれ、公的医療保険の対象にできるか評価中である治療法「先進医療B」として承認を受けている。

今回発足したJ-Kinsoバンクでは、まず、便提供者である「腸内細菌ドナー」を募集、様々な角度でスクリーニングを行う。応募者の10パーセント程度と推測されるという、適格と認められたドナーの便から腸内細菌の抽出などを行い、FMTの臨床試験、腸内細菌活用の医薬品研究開発などに供される。

応募ウェブサイト(https://www.j-kinso-bank.com/)でのウェブ問診(設問約50問・所要時間約10分)を受けられるのは18歳以上65歳以下の健康状態が良好な日本国内在住の人で、腸内細菌医療の支援のため献便に協力する意思のある人。その回答から安全性基準を満たした人が腸内細菌ドナー候補として登録される。実際にドナーになる前に、特定の医療機関で「血液検査」「腸内細菌叢検査」「唾液検査」「問診」による適格性検査を受けることになる。当面の間は順天堂大学医学部附属順天堂医院(東京都文京区本郷)内の所定の場所で献便し、今後は国内複数箇所に献便施設を設けていきたいという。

順天堂大学医学部消化器内科准教授で、メタジェンセラピューティクス取締役CMOの石川 大氏は以下のように話し、協力を呼びかけている。 

「J-Kinsoバンクは、腸内細菌叢を必要とする患者さんと、提供するドナーをつなぐ仕組みです。そして、腸の“健康のバトン”をつなぐ、これまでにない全く新しいバンクです。健康な人の腸内細菌が、本バンクを通じて多くの患者さんとシェアされ、病気の治療につながる。そんな未来が目の前まで迫っています。これまで順天堂大学とメタジェンセラピューティクスは、FMTという医療技術を安全に患者さんにお届けするために、臨床研究を重ねてきました。今後FMTは、医療技術としてのみではなく、医薬品に形を変え、より患者さん負担の少ない治療の選択肢となる可能性を秘めています。研究をさらに進め、その成果を多くの患者さんにお届けするためには、ドナーの皆さまのご協力が必要です。何卒、ご協力をお願いいたします」

プレスリリース

文=縄田陽介

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