4月10日から(〜12日)スペインのバルセロナで「国連海洋科学の10年会議」、翌週はギリシャのアテネで米国主導の「海洋国際会議(Our Ocean Conference)」、その後ポルトガルのカシュカイシュで開催される「Sailors for the Sea Portugalコンフェレンス」、日付は重なるがバルセロナに戻って「Seafood Expo Global」が開催される。
これらで議論されるのは、それぞれに主軸は異なるが、国際協調によって修復しなければならない数々のテーマ。海洋保護区、持続可能な海洋経済、気候変動、海洋安全保障、海洋汚染、そして水産物の持続可能性だ。
なぜ、水産物の持続可能性が国際会議で重要視されているのか。それは違法性のある水産物の流通は世界的な課題で、国際協調なしには解決し得ないからだ。
日本では300を超える魚種が流通
現在、世界中で流通する水産物には漁獲証明書の添付が義務付けられている。EU諸国では全魚種が対象となっており、米国では主要13種が対象で、現在全魚種義務化に向けた法案が下院を通過している。
日本でも遅まきながらも2022年12月に、このIUU漁業の撲滅に対応するため、水産物等流通適正化法(以下流適法)が施行され、漁獲証明書の添付が義務化された。
しかし、その対象魚種は限られており、国内漁業の魚種はアワビとナマコの2種類のみ、これにシラスウナギが2025年を目処に加えられる予定だ。また輸入魚種についてはイカ、サンマ、サバ、イワシの4魚種にとどまっている。
今年は2年ごとの流適法見直しの時期を迎えており、国産の太平洋クロマグロを対象魚種に増やすことが予定されている。
しかし輸入のクロマグロ、ミナミマグロ、キハダマグロなどのマグロ類は業界団体「日本かつお・まぐろ漁業協同組合」からの陳情もあったものの、いま現在対象魚種からは外されている。その他の魚種についても見送りとなる見通しだ。
日本の市場では300を超える魚種が流通している。実は、対象魚種を増やそうにも、水産庁は手一杯なのだ。水産庁は規制の対象魚種を増やすキャパがないと嘆いている。EU諸国のように全魚種が対象となるまでの道のりは果てしなく遠く見える。