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海洋環境改善で目指す「持続可能な社会」

2019年12月にニュージーランドのオークランドで開催されたセーリング世界選手権の49er級レースで5度目のタイトルに輝いたピーター・バーリングとブレア・トゥーク /(c) Joshua McCormack

いよいよ東京オリンピックが始まる。コロナ禍での大会とあって、命を守るための安心安全な運営が叫ばれているが、「海の小さな命たち」を守るため、海洋環境の保全活動に深く関わってきた2人の選手を紹介したい。

ニュージーランドのピーター・バーリング選手とブレア・トゥーク選手だ。東京オリンピックのセーリング種目は10種類あるが、ピーターとブレアは「49er級」と呼ばれる2人乗りの競技に出場する予定で、最も金メダルに近い1組と言われている。

2人は、世界選手権でも49er級で6つのタイトルを獲得し、アメリカズカップでは2度の優勝、地球を一周するヨットレースであるジ・オーシャンレースの2017-2018年の大会では表彰台に上ったセーリング界のレジェンドだ。

先日、ピーターとブレアに話を聞く機会を得た私は、彼らと世界の海洋環境について積極的に意見を交わした。

セーリング選手が海洋保全財団を設立した理由


世界を舞台に活躍する2人の原動力となっているのは、セーリングでタイトルを獲得することだけではない。2人とも海洋環境と海洋生物に対して熱い思いを持っており、「Live Ocean」という海洋保全財団を設立している。

セーリングの選手は漁師や船乗りと同様、海で起きている変化に直に触れているため、2人はこの財団を通して、海の健全性を回復させるために世界に向けて強いメッセージを発信しているのだ。

彼らが守ろうとしている種の1つは、アルバトロス(アホウドリ類)である。「アルバトロスたちは、南極海を旅する時の仲間です」とピーターは語る。

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アンティポデス諸島のアルバトロスのつがい(c)Charlie Bennett

「われわれが全身ずぶ濡れになって懸命にヨットを操縦している間、彼らは滑るように飛行しながら見守ってくれています。彼らこそ海の主であり、その大きさと、3.5メートルにも及ぶ翼で大空を飛翔する姿は、本当に見るものの心に残るものです」

ゴルフ好きなら「アルバトロス」と言えば憧れのプレーだろう。パー5のホールを2打でホールアウトするようなスーパースコアのことを言うが、それには相当な飛距離が必要だ。その長打を悠々と大空を長時間飛行するアルバトロスに例えて、名付けられたという。

日本ではアホウドリといういささか不名誉な名前で呼ばれているが、それは陸上で簡単に捕獲できてしまうことや、人間に囲まれて右往左往する姿などから名付けられたという説がある。

全世界的に見ても、19世紀末、羽毛目当ての乱獲によってアホウドリは激減し、その後狩猟法などで保護が試みられたが、絶滅の危機は避けられていない。現在日本で生息する種も、トキやコウノトリと並んで国の特別天然記念物に指定されている。

文=井植美奈子

オリンピックサステナブル
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