海洋環境改善で目指す「持続可能な社会」

Jean-Philippe Tournut/Getty Images

「IUU漁業」、この言葉を知っている人は果たしてどのくらいいるのだろうか。6月8日は世界海洋デー。世界中の海洋環境改善にコミットしている国や団体が声明を挙げるこの機会に、IUU漁業について知見を深めてみてはいかがだろうか。

IUU漁業とは、違法(Illegal)、無報告(Unreported)、無規制(Unregulated)の頭文字を連ねた漁業の名称であり、持続可能な水産資源管理に脅威をもたらし、正規の漁業者を不公平な競争にさらすものだ。

5月末、米国は中国の大手水産会社がIUU漁業を行ったと認定し、同社の全ての水産物に対して輸入禁止の措置をとった。このように、いまIUU漁業は世界的にも問題視されている。

SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)の「世界を変えるための17の目標」のうち、14の「海の豊さを守ろう」のなかでも、IUU漁業の撲滅はターゲットとして掲げられている。

また2019年6月に行われたG20大阪サミットで採択された首脳宣言にも「IUU漁業に対処する重要性を認識しIUU漁業を終わらせるという我々のコミットメントを再確認する」と明記された。

とはいえ日本では、1人当たりの水産物の消費量が世界第3位の「魚食大国」であるにもかかわらず、IUU漁業に対する認知度も危機感も低いのが現状だ。

日本人が食べる6匹に1匹はIUU漁業由来


IUU漁業が行われている対象として代表的なものは、世界的にはフカヒレやウナギ、日本国内だとアワビやナマコなどが挙げられる。

国連のFAO (Food and Agriculture Organizations=食糧農業機関)によれば、世界の漁業資源のほぼ3分の1が乱獲により劣化しているが、IUU漁業は、世界で年間1億2600万トンほどの漁業資源を水揚げしていると推定される。これを金額換算すると年間1兆600億円~2兆4380億円と推定され、この金額は日本の年間漁業産出額とほぼ同等、またはそれ以上の規模にあたる。

1999年に国連のFAO水産閣僚会議のローマ宣言において「全ての形態のIUU漁業に効果的に対処するために地球規模での行動計画を策定する」旨が決定された。それから20年余りの間に、EUや米国はすでにIUU漁業に対して国家政策をとっている。日本でもようやく昨年末に、70年ぶりに行われた改正漁業法の施行とそれに続く流通適正化法の成立により、IUU漁業の撲滅に対して国として本格的に動き出した。そしていま、世界の目は日本に注がれているわけだ。

実は日本では、私たちが食べている魚の6匹に1匹は、IUU漁業由来のものであるとされている。そして、そもそも日本の水産資源は持続可能性が低いものが多いのだ。

文=井植美奈子

日本食サステナブル
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