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2024.04.15 09:15

「人口オーナス時代」の輸出産業はこれだ!


国立社会保障・人口問題研究所の予測では、死亡率高中低の3つのシナリオで予測が提供されていますが、日本における75歳以上の人口は2055年頃まで増加していくと予想しています。

シニア社会は長寿化や少子化に伴い、日本以外の国も早晩突入していく訳ですが、まだまだ平均年齢の若い東アジアの国々がシニア社会になるにはまだ時間がかかります。この時間的ギャップを利用して、日本を第1市場として、プロダクト・サービス・インフラの完成度をあげ、「次代の輸出産業」にしていくという目論みができないかと考えています。

では、シニア社会に向けて、「人口オーナス」状態を逆手にとって、次代の日本の産業の柱を創る為のアイディアはどのようなものがあるでしょうか?

シニアの経験が大化けして花形産業に

総務省の予測によると日本の2030年における高齢化率(65歳以上の比率)は31.8%、2050年は39.6%となります。つまり、いまから6年後に高齢者の比率が30%を超え、26年後に40%近くなります。

シニア社会においてシニア層の「クオリティオブライフ」の劇的向上には、これまでの価値観を超える新たなプロダクト・サービス・インフラを発想し、創造する事が重要となります。というのも人類の歴史において、シニア層の割合が全人口の3分の1になるといった国家や集団はおそらく存在しなかったはずです。

全人類にとっても未踏の状態を日本がその最先端国の1つとして突入することになります。現在のシニア層は、昭和時代の日本において、未踏だった高度経済成長を体験し、成長を具現化してきた方々でもあるので、こういった方々の能力や体験を活用しない手はありません。

ただし、経済成長期に成立した常識は一度捨てて、新たな視点で今後の人口オーナス時代のプロダクト・サービス・インフラ・仕組み・ルール・組織・コミュニティ・体制を再定義していく必要があります。

最近、かつての先輩同僚が補聴器を使い始めたという話を聞くようになりました。実際に使ってみると、単に音量をあげるだけの機能では不十分だという事が分かったとの事でした。80年代後半にソニーの研究所に私が入社した頃に還暦くらいの年齢に到達されていた大先輩のカリスマ技術者の方が、補聴器は音量を上げるだけではダメで、時間軸を伸ばすような処理が必要なのだと主張されていた事を思い出しました。

 祖父母と孫が話すときに、孫がゆっくりと音を一音一音発音してしゃべっていたりしますね。つまり、早くしゃべられると音として聞こえていても、言語として理解できるようにならないという事の証左なのでしょう。こういった事もまだ今の補聴器では充分な対応ができていない様です。

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文=茶谷公之

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