経済

2024.03.22 09:00

IMFや世銀を「世襲」する欧米、アジア諸国は今こそ声を上げるべき

IMFに勤務していた筆者の個人的な観察によれば、2008年の世界金融危機で秩序が崩壊したことによって途上国の発言力と存在感がわずかに拡大するまで、欧州は現状維持に満足していた。現在でも、欧州諸国がIMFの中で不釣り合いなほど大きな発言力を持っていることに変わりはない。国内総生産(GDP)1兆8000億ドル(約273兆円)の韓国が、それを下回る同1兆ドル(約151兆6500億円)のオランダより、IMFから割り当てられている票数が少ないことをどう説明できるだろう? GDPが5950億ドル(約90兆2500億円)の小国ベルギーが、同1兆1000億ドル(約166兆8200億円)のインドネシアに比べて著しく大きな発言力を持っていることをどう擁護するのだろうか?

だが、今日ではIMFで中国、インド、インドネシア、日本、韓国が持つ票数を合計すると、欧州主要国の比重を上回ることは、欧州も把握しているだろう。また、途上国に関しては、サウジアラビア、ブラジル、南アフリカの票数も含めれば、現在すでにIMFのかなりの部分を占めており、将来的に票数の割り当てが再調整されれば、その勢力はさらに増すだろう。このように、IMFや世銀をはじめとする国際機関の今後の人事のあり方について、アジア各国の政府は今こそ声を上げるべきであり、その意見には耳を傾けられるべきだ。

依然として強力な国際機関の運営に当たっては、世界中から最も有能な候補者が選ばれるべきであり、アジア諸国は公正で透明性のある、実力主義的な選出方法を求めなければならない。そのような過程を経た上で、欧州出身の候補者が選ばれるのであれば、筆者として異存はない。

そうした公平な手続きを経ない限り、IMFや世銀の歴代の幹部は、はるか昔の世界大戦の戦利品が分配された時に、たまたま「親」が適切な時に適切な場所にいたから任命されただけの「親の七光り」に過ぎないだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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