「世界は平和を見出し、暴力と憎しみの悪循環から抜け出すために、再び真に人間らしい目と心で物事を見るために、母親たち、女性たちに関心を向けるべきだ」
イスラエルがパレスチナ・ガザ地区への攻撃を続け、ロシアによるウクライナ侵攻が3年目に入るなか、世界ではその他のさまざまな場所でも、暴力や紛争が起きている。
これらが明らかに示すのは、世界はいま「新たなシステム」を必要としているということだろう。より「攻撃性が低く、国や個人が自身の望み世界に押し付けようとしない」システムだ。教皇は「女性たちは異なる、より平和的な秩序の構築を支援することができる」と提言している。
「中高年男性」依存の限界
国際政治の舞台にあまり女性の姿が見られないことは、例えば2023年11月末からドバイで開かれた国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の参加者を見ても明らかだ。出席した代表133人のうち、女性はわずか15人だった。ジェンダーの平等の実現に向けた変化の速度は、非常に遅い。そして、米コンサルティング会社マッキンゼーが発表したレポート「Women in the Workplace 2023(職場の女性に関する調査)」でも指摘されているとおり、政治だけではなくビジネスの世界においても、その傾向は同様だ。
女性の代表が不足していること、似たような考えを持つ人たち(多くの場合は白人の中高年男性)からなる1つのグループに依存していることは、誰の能力を最大限に引き出すものでもない。
トップレベルの政治対話、気候変動に関する交渉、ビジネス戦略の策定などのいずれにおいても、すべての人にとって役に立つのは、多様性だ。それは、過去の調査結果を見ても明らかだ。
より幅広い分野から集められた人々が優れた創造性と専門知識を持ち寄る「多様なチーム」は、より適切、かつ大胆な決断を下す可能性が高い。ある調査の結果、平和条約の交渉に女性が加わっていた場合の方が、和平がより長く持続することがわかっている。