そうした中で、日清食品ホールディングスと慶應義塾大学 医学部 スポーツ医学総合センターが共同で研究を行い、自立神経活動と生産性に関連があることをApple Watchを活用した実験により実証している。
日清食品ホールディングスでは、「テレワークうつ予防チーム」による社員ケアや産業保健体制の強化など、社員のWell-being向上のための活動を行っており、特に心身に何らかの症状を抱えた状態で勤務し、本来のパフォーマンスを発揮できない状態を意味する「プレゼンティーイズム」の予防や改善に取り組んでいるという。
そこで、社員約700名に心電図が計測可能なApple Watchを貸与し、6カ月間、毎朝30秒間測定した心電図データのほか、歩数や睡眠時間などのデータを収集。それらのデータを慶應義塾大学が分析した結果、ストレスや疲労などの状態把握に有効な自律神経活動指標とプレゼンティーイズム値(健康問題による仕事のパフォーマンスの低下を表す指標。値が低いほど業務遂行能力が低下している状態を指す)に関連があることがわかった。
ストレスや疲労などの状態把握に有効な自律神経活動指標である「緊張度」と「活性度」の2軸でその日の状態を分類したところ、下図のCの位置にある時はプレゼンティーイズム値が高く、Bの位置にある時は逆に低いとのこと。さらにこの分類に、歩数や睡眠時間のデータを加味することで、評価の精度がより高まることもわかった。
スポーツ医学総合センターの勝俣良紀専任講師は、こうした結果を基にプレゼンティーイズム予測のアルゴリズム開発を加速させる見込みとのこと。Apple Watchを装着することで、よりWell-beingな働き方ができるようになるかもしれない。
Apple Watchの心電図計測機能は、これまで不整脈などによる病気を予測するなどに役立ってきたが、精神面でも活用できるようになれば、より健康的な身体を保つバロメーターになり、ウェアラブルデバイスの本領を発揮するかもしれない。
出典:日清食品ホールディングス「日清食品グループと慶應義塾大学 医学部のWell-beingに関する共同研究」より