宇宙

2024.03.19 17:00

オリオン座のベテルギウスに再び異変、「超新星爆発」間近か

赤色超巨星ベテルギウスの姿を描いた想像図。太陽系ほどの大きさの巨大なガスのプルーム(噴流)を持ち、表面に巨大な泡ができている(ESO/L. Calçada)

赤色超巨星ベテルギウスの姿を描いた想像図。太陽系ほどの大きさの巨大なガスのプルーム(噴流)を持ち、表面に巨大な泡ができている(ESO/L. Calçada)

北半球の冬の夜空に見える代表的な星座の1つ、オリオン座の「肩」の位置で輝く1等星ベテルギウスは、太陽系の最も近くにある赤色超巨星だ。

全天で10番目に明るい恒星と考えられているが、天文情報サイトのEarthSkySky&Telescopeが伝えている最新の研究結果によると、ベテルギウスの明るさが1月下旬から0.5等低下しているという。超新星爆発が間近に迫っているのだろうか。

ベテルギウスはオリオン座の「肩」の位置にある(Getty Images)

ベテルギウスはオリオン座の「肩」の位置にある(Getty Images)

胸躍る展望

今すぐ爆発する可能性は低いが、今後10万年以内には間違いなくベテルギウスが超新星爆発を起こすことがわかっている。恒星の一生では、それは本当に間近に迫っているが、天文学者らは今後の展望に胸を躍らせている。なぜなら天の川銀河(銀河系)内では17世紀以降、超新星爆発は観測されていないからだ。

2023年に発表された論文の予測では、ベテルギウスのコア(核)は300年足らずで燃料の炭素を使い果たし「超新星爆発につながるコアの崩壊が、数十年以内に起こると予想される」という。

明るさのわずかな変化でも大きな興味を引くのは、こういうわけだ。

2019年末~2020年初旬に起きた「大減光」の間のベテルギウスの表面。右の3つに著しい減光(特に南半球)が見られる(ESO/M. Montargès et al.)

2019年末~2020年初旬に起きた「大減光」の間のベテルギウスの表面。右の3つに著しい減光(特に南半球)が見られる(ESO/M. Montargès et al.)

大減光

ベテルギウスは質量が太陽の20倍、大きさが太陽の1400倍で、太陽系から650光年の距離にある。つまり現在ベテルギウスで起きていることは、実際は650年前に起きたことで、地球では今まさにその光、あるいは減光が見えているにすぎない。それでも、ベテルギウスは「超新星の危険地帯」とされる50光年よりもずっと先にあるので、心配する必要はない。

2019年末から2020年初めにかけて、ベテルギウスの突然の「大減光」がメディアをにぎわせた。この間、明るさが通常の40%まで低下した後、徐々に元に戻った。形状も変化した。

約400日周期と6年周期で明るさが変動する変光星であることはすでに知られていたが「大減光」ほどの劇的な変動は観測史上初めてだった。
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翻訳=河原稔

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