加えて、暗号資産マイニング企業は、原子力発電の振興を後押ししてもいる。マイニング企業のTeraWulf(テラウルフ)は2023年、米国で初めて「原子力からの電力」のみで操業する暗号資産マイニング施設を開業した。さらに、高性能小型原子炉の新設を計画中の電力スタートアップ企業Oklo(オクロ)は、マイニング企業のCompass Mining(コンパス・マイニング)と20年契約を結んだ。
テック企業が原子力/再生可能エネルギーを電力源として積極的に採り入れているのは、業界が電力消費に関して厳しい監視の目にさらされていることを示している。米国エネルギー情報局(EIA)は先日、暗号資産マイニング企業の電力消費に関する調査結果を撤回した(データ収集が、十分に確立された手法に則って行われていなかったという理由でだ)。この一件は、暗号資産マイニング企業やその他のテック企業に対し、政府や一般大衆からのプレッシャーが強まっていることを物語っている。
だが、テック業界はただ手をこまねいているわけではない。電力消費に関する危機感が増大するなか、各社は先手を打って解決策を模索し、エネルギー企業とパートナーシップを結んでいる。こうしたトレンドは、業界が一般大衆の懸念に関して柔軟に対応することは十分に可能であり、往々にして、政府がなんらかの規制をかける前に変化が進むことを示すものだ。
こうした動向から学ぶべき教訓があるとすれば、民間企業は業界の問題を特定し、対策を講じることに長けているというものだろう。電力消費に関して批判を受けたテック企業は、CO2排出量の少ないエネルギー源を探し出し、これらに投資するという対応をとった。