厳しい目にさらされ「原子力と再生可能エネルギー」の利用を進める大手テック

安井克至
政府に対策を任せれば、その対策は電気税の導入といった、電力使用量そのものを削減させる大雑把な手段になっていたかもしれない。だが、これらの企業は低排出電源に目を向けた。そのため、テクノロジー需要の高まりにつれて将来的に電力使用量がさらに増加したとしても、環境面でのハードルを気にすることなく対応ができる。こうしたアプローチは企業に、PRの観点からの利益だけでなく、イノベーションを減速させることなく環境面での課題に対処できるという、もう1つの利益をもたらす。

こうした歴史を念頭に置くことは重要だ。特に、いまやAI(人工知能)など、その他のエネルギー集約的技術に焦点が移りつつあるからだ。急速に普及しつつあるAIは、膨大な演算能力を必要とするため、電力消費に関して、同じように厳しい目を向けられるだろう。

マイニングおよびクラウドコンピューティング分野の企業が採用しているアプローチは、AI企業にとって青写真になるだろう。AI企業は、今後起こり得る問題を事前に予測し、積極的にエネルギー企業とのパートナーシップを推進することで、責任ある電力使用へのコミットメントを示すことができる。

とはいえ、テック企業に電力消費について罪悪感を抱かせるキャンペーンは、容易に非生産的なものに転じ得る。世間からやり玉に挙げられるのを避けようとする企業が、高リスクで安定性に欠けるエネルギー源を求めて契約を結び、結果として電気代が高騰すれば、損をするのは消費者だ。

それでも、テック企業と原子力/再生可能エネルギー企業の提携が活発化していることは、電力消費をめぐる人々の懸念に対応すべく、業界がコミットしていることの証といえる。これらの企業は、収益の観点から自社の利益を追求しているだけでなく、明日のエネルギー源のパートナーおよび消費者となることで、よりエネルギーに恵まれた未来の礎を築いているのだ。

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

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