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2024.03.25 14:15

女性が自分の人生を決められる社会に。福田和子がSRHRの実現に挑む理由

田中友梨

また、2020年6月には、ピルコン理事長の染矢明日香、産婦人科医の遠見希子と共同代表で市民団体「#緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」も立ち上げ。緊急避妊薬のスイッチOTC化を求め、厚生労働省に要望書の提出などを行ってきた。

その結果、2023年11月28日には、全国145の薬局での試験販売が決定。ただ、依然課題も残る。

「試験販売が始まったのはいいことですが、取り扱っている薬局は全国で145軒と非常に少ない。また、15歳以下は対象外で、16~17歳は購入に保護者の同意が必要とされています。一番“妊娠したら困る”“親にも言えない”という年頃の子たちにとって、手が出しにくいんです。まだ本質的な解決には全く至っていません」

経口中絶薬についても同じような状況だ。2023年4月にようやく日本でも承認されたものの、母体保護法により、母体保護法の指定医だけが処方でき、服用には配偶者の同意が必要だ。

更には入院設備のある医療機関のみで使うことができるというハードルの高さで、全国で取り扱う病院は127件(3月17日現在)。11の県で一切取り扱いがなく、四国においては徳島に1件あるのみだ。“最も安全な中絶法“としてWHOが推奨しているのにもかかわらず、現段階で入手は極めて困難だ。

国はなかなか変わらない

「近年は『緊急避妊薬が薬局で買えてもいいのでは』『性教育をもっとしっかりした方が良いのでは』という声も多くなり、市民の皆さんの意識が変わってきていることを感じます。でも、それを決める役割の国は、あまり変わっていないんです」

「#なんでないのプロジェクト」を立ち上げて6年。福田は、社会の変化を感じつつも、国や医師たちの“壁”が厚いことも実感している。

「避妊や中絶の選択肢が必要な人に確実に届く社会になれば、産む・産まないという、人生に直結するとても大きな決断において、妊娠する本人が、女性が、もっと主体的に決められるようになる。遊廓の時代はできなかったけど、今は技術的にも経済的にもそれが叶えられていいはずの時代です。

むしろSRHR、権利として守られて当然のはずなのに、実現に必要な情報や手段が『なんでないの?』そんな社会への問いかけの先に、ひとりひとりの MY BODY, MY CHOICE(私のからだは私が決める!)が叶えられる時代をみんなでつくっていきたいです。」

文=三ツ井香菜 取材・編集=田中友梨 撮影=山田大輔

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