欧州

2024.03.12

ウクライナ軍、激戦の東部戦線でロシアをしのぐドローン攻撃の可能性

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ロシアはウクライナに全面侵攻してからの2年で驚くべき損失を被ったにもかかわらず、それでもなおウクライナを上回る戦車や大砲、兵力を保有している。ロシアがウクライナより多く持っていないのはドローン(無人機)だ。

爆発物を搭載した1人称視点(FPV)ドローンの攻撃を丹念に追跡している公開データによると、ウクライナは安定して月300機のFPVドローンで攻撃していることが確認されており、この数はロシアを上回っている。

ウクライナ軍は昨年8月以来、少なくとも8273機のFPVでロシア軍を攻撃している。重量約900gのこれらのドローンは約450gの爆薬を搭載して最長約3.2km飛行する。一方、ロシア軍が同期間に使用したFPVは少なくとも6059機だった。

確認されている数をはるかに上回るFPV攻撃が行われている可能性が高い。だが、いずれにせよ、両軍が投入しているFPVの数には明らかに差がある。この差により、ウクライナ軍は同国東部の廃墟と化したアウジーウカの西方でロシア軍のこの冬の攻勢を食い止めることができた。

ロシア軍は、兵力で劣り、大砲も不足していたアウジーウカのウクライナ軍守備隊(第110独立機械化旅団といくつかの付属部隊)を滑空爆弾で攻撃し、歩兵による波状攻撃を加えた。最終的に守備隊は第47独立機械化旅団、第3独立強襲旅団、第53独立機械化旅団の援護を受けながら西に撤退した。

ウクライナ軍はアウジーウカから数km西に位置する村々の防衛はあきらめ、さらに西のベルディチやオルリウカ、トネニケといった村々で防御線を再び築いた。

後方に池などの水域がある有利な地形で、第47、第3、第53旅団は戦車や大砲、迫撃砲、そして最も重要なことにドローンで反撃に転じた。かなりの数のドローンだ。ロシアの軍事ブロガーは「ウクライナ軍がアウジーウカ方面で保有しているドローンの数は桁外れだ」とぼやいた

このブロガーは、アウジーウカ西方に展開するウクライナ軍の旅団が、同方面のロシア軍の第2、第41諸兵科連合軍が出撃させる兵士と同数のドローンを飛ばしていると推定した。これが本当なら、ウクライナ軍はこの方面だけで数千機のFPVドローンを備蓄していることになる。

この主張は数字によって裏づけされている。増え続けている小さな民間の工房と提携することでウクライナ軍は昨年、FPVの製造を急速に拡大した。今では1機あたりわずか数百ドルで、毎月少なくとも5万機のFPVを入手している。目標は今年、FPV100万機を投入することだ。

ロシアの宣伝者らは、自国の産業はもっと多くのドローンを製造していると主張する。月に10万機、あるいは30万機という目を疑うような数字を並べている。

騙されてはいけない。確かに、ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトによると、規模でウクライナをしのぐロシアのドローン産業は、ウクライナにとって「簡単な解決策のない複雑な問題」を突きつけている。
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翻訳=溝口慈子

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