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2024.03.12 09:15

脱コンプレックス、地域ブランドを世界へ|コシノジュンコ x 岸本和歌山県知事 対談

岸本周平 和歌山県知事(右)とコシノジュンコ氏 背景は、那智の滝を想起させる今井俊満氏の作品「飛花落葉」 

編集後記:無いもの尽くしの戦い方 

 glafit代表 鳴海禎造 (スモール・ジャイアンツ イノベーター) 
 
私は昨年から、地元・和歌山で「和歌山市公民共創アドバイザー」とコシノさんも参画する「和歌山県未来創造プラットフォーム」の地方創生担当リーダーを拝命しています。どちらも民間の立場で、行政に提案や意見を申す役割ですが、つくづく地方創生と中小企業の戦略は近しいものがあると感じています。大都市に比べて、あるいは大企業に比べて、両者はヒト・モノ・カネが圧倒的に不足している。その無いもの尽くしのなかで、どのような戦い方をすれば良いのか──このような点で、まさに共通の視点があると感じていました。 
 
Forbes JAPANの「スモール・ジャイアンツ」プロジェクトでは、規模は小さくても価値の大きな取り組みを発掘していますが、私自身は「戦略」とは、弱者が困難な状況に打ち勝つため身につけるべき能力であると感じています。 
 
和歌山の魅力を発展させ、地域ブランドを再構築しようとする岸本知事の戦略には、私も強く賛同しています。地方の衰退は都市部を除く、すべての地域課題であり、地域ブランドを確立することで関係人口を飛躍的に伸ばせる可能性は十分にあると考えています。 
 
今回、コシノさんと岸本知事のお話を聞き、これまでとは違った視点に気付かされました。お二人とも共通して、かっこいい大人であり続けることを心がけているということです。「もっとこうしていきたいね」「次はこれをやってみよう」と、お二人は常に未来に向けた話で盛り上がっていました。 
 
「将来から見ると、今日が一番若い」。コシノさんの名言集にはこんな言葉がありました。現在84歳でいらっしゃる方の言葉です。いつまでも未来を見て生きる。こんな生き方は難しくもありますが、誰にでも、いくつになってもチャンスがあるとも言えるでしょう。 
 
地域におけるブランドとは、最終的にはその地域に住む人たちがつくり出す風土であり、コミュニケーションで生まれる感情価値も含まれると思っています。つまり、一度は訪ねた地域に何度も行きたくなるかどうかは、そこで関わった「人」から受けるものが非常に大きいと思います。和歌山の観光においては「暖かい気候」×「温かい地元の人たち」といった要素の掛け合わせがリピートしたくなるファンを生み出すと思います。 
 
今こそ地域に根づくコンプレックスを断ち切り、「シン・和歌山ブランド」が確立され、和歌山が最高だと、大人も子どもも思える未来を共につくっていきたいと思いました。次回も地域にゆかりのある、新たな挑戦をお届けできたらと思います。
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聞き手=鳴海禎造 写真=小田駿一 文=督あかり

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