鳴海:コシノさんは和歌山をマニアックだと言ってくださっていますが、知事としては、この和歌山のブランドをどのようにしたいと考えていますか。
岸本:2つあって、1つは観光地としてのブランディングを進めたいです。去年、「聖地リゾート」というキャッチコピーをつくりました。聖地とはまさに熊野古道や高野山のことで、リゾートというのは白浜をはじめ、温泉がたくさんあるということ。
もう1つは、SDGsの取り組みです。県内面積の8割を山が占める和歌山県が、経済的に少し遅れてきたというコンプレックスを跳ね返す。そんなプライドを県民が誇りを持つためのブランディングです。カーボンクレジットや再生エネルギーの活用に取り組んでいます。
コシノ:和歌山には歴史や文化的にも、持続可能な土壌がありますね。
鳴海:歴史的・文化的に価値のある聖地をマニアックに出していくのか。でもそこでリゾートという言葉を使うことによって一般の人に馴染みのあるような発信をするのか、そこに意図はあるのでしょうか。
岸本:聖地はマニアックかもしれないけれど、リゾートは割と誰でも来られる。意図したわけではないんですけれども、両方の要素が和歌山に元々あるということだと思いますね。
一流ブランドに磨き上げるヒント
鳴海:和歌山の観光を中心とした魅力の発信の話がありましたが、和歌山の特産品をブランディングするという観点では、どのようにお考えですか?コシノ:私がいいと思うのは、梅ですね。紀州南高の梅干しを最初いただいた時、本当においしかったんです。味は一流だったけど、パッケージがいまいちだったんですよ。それで、私がパッケージのデザインを手がけることに。それからもう4年ほどになります。
食べ物はまず目で見て、目で食べるっていうじゃないですか。味は食べてみないとわからないんだけど、食べる以前の最初の直感はビジュアルが大切ですよね。
鳴海:この流れで、和歌山のいろんな特産品、全部1個ずつ手掛けていただけたら最高ですけどね。
コシノ:地元の人にはなかなかない、外からの感性と組んだらいいんです。中で頑張るだけでなく、もっとおおらかに外の方々と手を組んだらどうですかね。
岸本:そうですね、産業という意味でも、国内外のいろんな才能のある方と組んでいきたいですね。
コシノ:そうやって洗練されたものを売ってほしいと思っています。