学生アスリートも億を稼ぐ「NILビジネス」
宮田氏が創業者兼ゼネラルパートナーであるスクラムベンチャーズは、世界の有望なスタートアップへの投資や、企業とスタートアップによる事業共創を支援している。現在は文部科学省の外局であるスポーツ庁とともに「スポーツオープンイノベーションプラットフォーム」の拡大にも力を入れており、去る2月末には成果を報告する「SPORTS INNOVATION STUDIO DEMO DAY」をSCRUM CONNECT 2024と合わせて開催。スポーツ庁長官の室伏広治氏もイベントに駆け付けた。海の向こうの米国では現在、スポーツとエンターテインメントを巡る新しいビジネスが活況を呈している。宮田氏が挙げる事例の1つが大学生アスリートによる「NILビジネス」だ。
NILとは「Name, Image & Likeness」の略。日本語では「氏名、イメージ、肖像」という意味だ。米国では2021年から多くの州で学生アスリートが自身の名前や肖像を使ってビジネスを行うことが認められた。以降、NILビジネスへの注目が急上昇中だ。
学生によるNILビジネスはインスタグラムやX(旧ツイッター)など、自身の活躍をアピールできるソーシャルメディアと結びつきが深い。人気の学生アスリートはインスタグラムで数百万以上のフォロワーを抱えるインフルエンサーでもあることから、その影響力に期待する商品やサービスとのマッチングも数多く成立する。グッズ販売にも発展したり、年間に億単位の収入を獲得する人気の学生アスリートもいる。米国における2023年のNILビジネスの市場規模はおよそ1750億円にもなるという。