スタートアップ

2024.03.07 08:30

日本が巨大スタートアップを創出できる6領域を考察する

縄田 陽介

以前にも記事で書いたように、Coral Capitalでは投資を検討する際によく「Why Japan?」という問いについて考えます。つまりグローバルなコンテクストの中で投資を考え、今後の新たな市場機会について全体像を見据えた上で判断しているのです。

さらに言えば、この問いに対する答えとなる「日本固有の強みを活かしてグローバルに競争できるビジネスに取り組むスタートアップ」への投資は、私たちが特に注力しているカテゴリーの1つでもあります。

Coralではこの投資テーマを「ジャパン・アドバンテージ」と呼んでいます。SaaSのような国内市場に特化した分野にも引き続き期待していますが、市場の大きさから考えて、非常に恵まれたケースであっても数千億円規模に達するのが上限であると予想しています。

ユニコーンだけでなく、さらに上のデカコーンの創出を狙うのであれば、やはりグローバル展開を目指した企業への投資にも重点を置く必要があるのです。

グローバルに戦えるソフトウェアやインターネット関連の企業を目指して起業することも素晴らしいと思いますが、それらの分野では言葉や文化の壁が残念ながら大きなハンディキャップになると私たちは考えています。

そのため、Coralでは主に日本がすでに優位性を持っている分野に取り組むスタートアップに注目しています。例えば、ディープテックやバイオテクノロジー、IP、ゲームなどです。トイレテックも良いと思います。

SaaSなどの分野では営業やマーケティングを中心にビジネスが成長する傾向が強く、言葉や文化の壁が課題となりますが、ディープテックやバイオテクノロジーなどの分野ではプロダクトやテクノロジーが優れてさえいれば大抵はそれだけで自ずと売れるからです。

この傾向はCoralの投資先であるロボティクスのGITAIや核融合の京都フュージョニアリングでも実際に見てきました。今後もダイヤモンド半導体バッテリー技術、診断技術への投資で同じように成果につながることを期待しています。

このような観点から、Coral Capitalでは「イノベーションを生み出すだけでなく、日本独自の強みを活かして世界的な巨大企業になれるスタートアップを見つけ、成長を支援すること」を投資テーゼの最も重要なポイントとしています。日本が優れている様々な分野こそが、スタートアップが国際的な競争を勝ち抜くための強固な基盤となるのです。

具体的に私が最近注目している分野について、いくつかご紹介したいと思います。
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文=James Riney

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