ゴーグル不要、立体視のデジタルスポーツ観戦を「みんなで楽しむ」
いま、米国に映像とサウンドによるイマーシブ(没入型)な体験を提供するエンターテインメント施設が次々にオープンしているという。宮田氏が名を挙げる施設の1つは、筆者も年初に訪れたラスベガスのエンターテインメントシアター「The Sphere(ザ・スフィア)」だ。コロナ前から建設が始まり、2023年9月にオープンした。施設内部には正面から天井まで巨大な1面のLEDスクリーンが広がり、包まれるようなサウンドを鳴らす立体音響システムもある。シーンと連動して座席が揺れたり、軽く水しぶきが飛び散るアトラクション型のコンテンツは、おそらく初めて体験する誰もが深くのめり込むはずだ。
Apple Vision ProやMeta Quest 3のように、没入型のVR/XRコンテンツを楽しめるデジタルデバイスが話題だが、これらの頭部に装着するウェアラブルデバイスでは迫力のコンテンツ体験を独り占めできても、周りの友人や家族と感動をシェアできないことに不満の声もある。
ウェアラブルデバイスが抱える「弱点」を克服して、The Sphereのようにイマーシブな体験を「大勢でリアルタイムに共有できるエンターテインメントが24年以降は、まるで堰を切ったように米国中に拡大するだろう」と語る宮田氏が、現在注目している2つの企業がある。
1つは米国のスタートアップ、Cosm(コズム)によるShared Reality(共有現実)をコンセプトに掲げるエンターテインメント施設だ。24年にはロサンゼルスとダラスに、収容人数最大2000人を超える規模の大型エンターテインメント施設をオープンする。スポーツバーのような施設では飲食サービスも提供しながら、巨大なLEDスクリーンにNBAや格闘技のイマーシブなスポーツコンテンツをライブ上映する。
もう1つの企業が、プロゴルファーのタイガー・ウッズ氏とローリー・マキロイ氏が共同で創立した、米国のTMRW SPORTS(トゥモロースポーツ)だ。屋内型のスタジアムで両氏をはじめとする米国のトップゴルフプレイヤーが集まり、3対3のチーム戦によるゴルフリーグ「TGL」を競い合う。リーグは2025年に開幕予定。
スクラムベンチャーズが、TMRWスポーツへの投資を決めた理由を宮田氏は次のように説いた。
「ゴルフ観戦に足を運ぶ来場者も人気の選手といっしょに18ホールを移動するのはひと苦労。TGLリーグは屋内スタジアムに観客を入れて、選手たちは巨⼤なゴルフシュミレーター活⽤して競技を行います。観客は移動することなく、座ったまま会場の巨大なスクリーンでゴルフを観戦できる。スポーツを最先端のテクノロジーで革新して、まったく新しいスポーツを創りだそうとする同社の挑戦は極めてユニークです」