1つの種なのに「茶色」と「灰色」のモリフクロウが存在する理由

樹木に隠れる褐色型のモリフクロウ。この種には褐色と灰色という2つの色彩型があることが知られている(Anil Öztas / CC BY-SA 4.0 via Wikimedia)

最近の遺伝子研究が、モリフクロウの淡い灰色の羽毛は、低温環境の中で生き残るための能力と関連している可能性を指摘している。

先に公開された研究が、モリフクロウ(学名Strix aluco)の灰色の羽毛は、この種が極寒の環境で生き延びる能力と関連していることを発見した。色彩は、さまざまな形で動物を助ける進化的適応の1つだ。擬態、交尾相手の誘引、さらには色素自身から与えられる生理学的能力や行動特性にも関連している可能性がある。しかし、ある集団の中で2つ以上の色彩型が存在することは、おそらく進化的に最も不可解な疑問の1つだろう。 

灰色型のモリフクロウ(Martin Mecnarowski / CC BY-SA via Wikimedia)

灰色型のモリフクロウ(Martin Mecnarowski / CC BY-SA via Wikimedia)

モリフクロウは、欧州全体の森林地帯および西シベリアの一部でよく見られる。中型の夜行性の鳥で、淡い灰色と濃い褐色という2つの羽色多型がある。これまで長い間、2種類の羽色多型はモリフクロウの環境への生理学的適応と一致していると考えられてきた。褐色の個体は温暖で湿度の高い環境である南欧と北アフリカの一部で多く見られる。一方、淡い灰色の個体は寒冷で乾燥した雪の多い生息環境である北欧で主に見られる。他の種では行動やその他の複雑な形質は羽毛の色の違いとなって現れていることから、モリフクロウにおいてもそのような相関の遺伝的証拠が見つかると期待することは妥当である。

「この仮定に基づき、温暖な気候でほとんど雪のない環境が、灰色の個体で支配されてきた寒冷地域において、濃い羽色への変化につながったと考えられてきました」と本研究の主著者であり、トゥルク大学のポストドクターで進化生物学者のミグエル・バルタサル・ソアレスはいう。同氏は集団遺伝学とゲノミクスが専門で、進化論をマネジメントに応用することに強い関心を持っている。

バルタサル・ソアレスと共同研修者らは、羽色の多型とそれらのオウムが生息するさまざまな環境との遺伝的なつながりを調べた。この実験を行うために、チームはさまざまな種の完全ゲノムのシーケンスと配列決定を初めて実施し、フィンランド南部のモリフクロウ370羽(灰色が220羽、褐色が150羽)について、包括的なゲノムワイド関連解析を行った。
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翻訳=高橋信夫

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