サイエンス

2024.03.17 14:00

1つの種なのに「茶色」と「灰色」のモリフクロウが存在する理由

バルタサル・ソアレスらは、灰色の表現型と強い相関のある低温適合の推定される遺伝子の証拠を見つけた(図1)。2つの遺伝的変異体の存在から、モリフクロウの灰色の羽色を70~100%の精度で推測することに成功した。

図1:MCHR1およびMCHR1系の系統発生(DOI:10.1111/MEC.17247)

図1:MCHR1およびMCHR1系の系統発生(DOI:10.1111/MEC.17247)

灰色のモリフクロウの羽毛に含まれるメラニン色素が少ないことは太陽光を熱に変換する能力を減少させているにも関わらず、羽色多型と相関のある遺伝子変異は、極寒への適応ともおそらく相関している。それらの適応には、エネルギー恒常性、脂肪沈着、飢餓応答の制御などがあり、地域の環境への適応であると解釈することもできる。一連の知見は、モリフクロウ集団の灰色の色彩に遺伝的調節機構があること、および地域環境への適応を支える遺伝子変異が存在することを示唆している。

バルタサル・ソアレスは、これらの遺伝子変異体の機能は、今後の研究によってさらに検証されるだろうという。しかし、同時に発生しているこの色彩の変化が、実際に気象条件に対する適応反応である可能性を今回の研究成果は示唆している。

図2:メラニンに関連する表現型の分子的機序を調査するための仮説フレームワーク(DOI:10.1111/MEC.17247)

図2:メラニンに関連する表現型の分子的機序を調査するための仮説フレームワーク(DOI:10.1111/MEC.17247)

出典:Miguel Baltazar-Soares, Patrik Karell, Dominic Wright, Jan-Åke Nilsson, and Jon E. Brommer (2024). Genomic basis of melanin-associated phenotypes suggests colour-specific environmental adaptations in tawny owls, Molecular Ecology 33(4) | doi:10.1111/mec.17247

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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