健康

2024.03.14 16:30

老化したら、どうなる? 「老いパーク」体験で得た想像力

老いパークの企画・調査を担当した、科学コミュニケーター園山由希江さん

体験展示と並んで紹介されるのは、老いとの付き合い方、対処法だ。介護ロボットやパーソナルモビリティなど、研究開発中のサービスプロダクトも展示されるが、それらは高齢者ばかりを対象としたものではない。
体験展示の横には、老化のメカニズムや対処法が展示され、より具体的な未来を思い描くことができる。
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「紹介するサービスプロダクトは、老いを止める方法ではなく、老いとともに生きる方法という観点で選んでいます。

例えば、ホンダのUNI-ONE(ユニワン)という着座型の乗り物。これは、手も足も使わずに座ったまま体重移動だけで操作できて、小さな子どもや下肢障害がある人でも使えるように設計されています。高齢者にとってありがたいものは、似た困りごとを抱える他の多くの人にとってもありがたいのです」
2月下旬、パーソナルモビリティ「UNI-ONE」の試乗体験会を開催。当日は、30〜40代と18歳以下の子どもと親を中心に、60代以上の高齢者まで、約350人が体験に訪れた。想像以上に身体に馴染む乗り心地 に驚く。
昇降は備え付けのスマートフォンで操作。カラーやフォルム、素材は日常のツールとして馴染むことを最重要に決定。1989年のホンダ社内 のアイデアコンテストから改良を重ね、ついにここまできた。


「誰しもに必ず訪れる老いは、想像の入口です。使う言語が自分とは違う、認知の仕方が違う、見え方や捉え方が違う。身体の状態が違うのは、高齢者だけではないですよね。
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私たちはみんな、そもそも違う身体を持って生きています。違う身体を持つ人たちで社会が成り立っていることに気づいて欲しい。老いパークが想像力を広げるきっかけになったら嬉しいです」

老いの体験によって見えてきたのは自分の未来だけでなく、他者の現在であり未来だった。老いというテーマは、誰も取り残すことない社会を構築する上で大きな鍵になると感じた。


園山 由希江(そのやま・ゆきえ)◎科学コミュニケーター。生命科学のバックグラウンドを生かし、老いパークの企画・調査を担当。科学を入り口に誰しもが部外者ではないと思える展示の実現を目指す。過去には特別展「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」、特別企画「超人たちの人体」、リアル脱出ゲーム「人類滅亡からの脱出」等を担当。

文=佐藤祥子

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