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「紹介するサービスプロダクトは、老いを止める方法ではなく、老いとともに生きる方法という観点で選んでいます。
例えば、ホンダのUNI-ONE(ユニワン)という着座型の乗り物。これは、手も足も使わずに座ったまま体重移動だけで操作できて、小さな子どもや下肢障害がある人でも使えるように設計されています。高齢者にとってありがたいものは、似た困りごとを抱える他の多くの人にとってもありがたいのです」
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「誰しもに必ず訪れる老いは、想像の入口です。使う言語が自分とは違う、認知の仕方が違う、見え方や捉え方が違う。身体の状態が違うのは、高齢者だけではないですよね。
私たちはみんな、そもそも違う身体を持って生きています。違う身体を持つ人たちで社会が成り立っていることに気づいて欲しい。老いパークが想像力を広げるきっかけになったら嬉しいです」
老いの体験によって見えてきたのは自分の未来だけでなく、他者の現在であり未来だった。老いというテーマは、誰も取り残すことない社会を構築する上で大きな鍵になると感じた。
園山 由希江(そのやま・ゆきえ)◎科学コミュニケーター。生命科学のバックグラウンドを生かし、老いパークの企画・調査を担当。科学を入り口に誰しもが部外者ではないと思える展示の実現を目指す。過去には特別展「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」、特別企画「超人たちの人体」、リアル脱出ゲーム「人類滅亡からの脱出」等を担当。