生成AIはクリエイションやルーティン作業の自動化をイメージされがちですが、実は高度な知的生産活動にも向いています。ボストン コンサルティング グループとハーバード・ビジネス・スクールがコンサルタントに対し、GPT-4あり・なしでパフォーマンスを比較した研究があるのですが、GPT-4ありだと全体のパフォーマンスが底上げされて、元々ローパフォーマーだった人でハイパフォーマーを追い抜く人も多かったようです。
つまり、経営戦略や経営企画部などの部署はルーティン業務の自動化により守りの業務から解放され、思考力の底上げで戦略設計などの攻めの業務にウエイトを置けるようになります。
社長は意思決定の数が増えて、よりスピードが求められます。というのも、今まで人力でやっていた意思決定のためのリサーチや検討材料集めなどが生成AIにより高速化されるので、どんどん決断・実行していく必要があります。旧来の稟議を上げてジャッジして、というようなスタイルはますます合わなくなりますね。
──組織づくりにおいて、何に気を留めれば良いですか?
まずは、組織のトップが健全な危機感と肌感を持って生成AIの活用にコミットすることが大事です。インターネットの黎明期のように、現在、生成AIの過大評価と過小評価が乱立しています。それらを経営層が冷静に見極めるためにも、ちゃんと自分自身で生成AIに触れたうえで意思決定する必要があります。
次に組織の6割のメンバーの意識を変えること。やっぱりいきなり全員を生成AIネイティブの方向へ持っていくのは難しい。いろいろな企業の生成AIの組織変革をサポートしていても、「2: 6: 2の法則」があると感じています。
2割のエンジニアやテック好きの人たちは、別に会社が何も言わなくても勝手に生成AIに触れている。一方で2割の方々は無関心で、なんなら自分の仕事がなくなる恐れがあるから推進しないでほしいと思っている。また、そういったネガティブな人たちの声って組織の中では広まりやすいんですよね。
なので、そのどちらでもない6割の人たちへの向けたアプローチが肝になります。社内勉強会や社内Slackのチャンネル、社内のニュースレターでも何でもいいんですけど、ちゃんと生成AIにポジティブなトップ2割の熱量や知識をシェアしながら、真ん中6割の意識を変革していくことが大切です。