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2024.01.31

米国が「政府主導」でAI研究を促進、ハイテク大手19社と連携で

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米国国立科学財団(NSF)は1月24日、米国内のより多くの研究者や学校にコンピューティングリソースを提供することを目的とした、新たなAIインフラプログラムを立ち上げた。

NAIRR(National Artificial Intelligence Research Resource)と呼ばれるこの試験プログラムは、複数のハイテク大手や政府機関から寄贈されたリソースやデータセットなどのAIツールへのアクセスを、研究者らに提供するものだ。この取り組みには、OpenAIやメタ、エヌビディア、マイクロソフトらを含む19社に加え、NASAや国防総省、国立衛生研究所(NIH)などの11の政府機関が参加している。

マイクロソフトとエヌビディアは、それぞれ2000万ドル(約30億円)と3000万ドル(約44億円)を寄付し、自社のクラウドとインフラへのアクセスを提供する。メタは、自社の大規模言語モデル(LLM)のLLaMAを使用する研究者をサポートし、OpenAIはAIの安全性や社会的影響に関連するプロジェクトに対し、最大100万ドルをAIモデルへのアクセスクレジットとして寄付する。NASAはデータセットと実践的なチュートリアルを研究者に提供、国防総省はコンピューティングリソースの管理と割り当てを支援し、NIHはヘルスケア関連のプロジェクトをサポートする。

NSFの先端サイバーインフラ部長を務めるケイティ・アンティパスは、このプログラムがAI研究の民主化にとって極めて重要だと述べた。「AIエコシステムに参加するために必要なリソースは一部に集中しており、多くのコミュニティがアクセスしづらくなっている。この試験的な取り組みは、そのギャップを埋めるための第一歩だ」と彼女は述べている。

NAIRRの立ち上げは、バイデン大統領が10月に出した、より多くの人々や組織にAIインフラへのアクセスを普及させるための大統領令を受けてのものだ。この試験的プログラムは、オープンリサーチとプライバシーとセキュリティの重視、相互運用の拡大、学校でのAI利用の推進という4つの分野に焦点を当てている。例えば、コミュニティカレッジの研究者や地方やマイノリティのコミュニティにサービスを提供する学校の教育者が、リソースを申請することが可能になるとアンティパスは説明した。

AI研究はこれまで、資金力のある研究機関や、膨大なコンピューティングリソースを持つ一部のハイテク企業らが独占してきた。

NSFのセスラマン・パンチャナサン所長は、記者発表で「私たちは迅速に行動し、この仕組みを構築する計画だ」と述べた。「そのためには、アクセスしやすいインフラが必要だ。このインフラは、米国全体の才能とアイデアを刺激し、やる気を起こさせ、活気づけるために利用可能なものだ」と彼は付け加えた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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